ドローンを使い始めたばかりのユーザーでも、ドローンが写真撮影に使用できることは知っています。ドローンによる空撮が身近になったことで、様々な分野で利用されるようになり、素晴らしい画像が生み出されています。しかし、それは地図の作成や測量にも十分なものでしょうか。
実のところ、航空写真だけでは、測量に必要な、遠近感の無い計測可能なデジタル画像を得ることはできません。そのためには、写真測量法が必要です。
航空写真は、空中を飛行する機器から撮影した写真です。ドローンなどの無人航空機(UAV)に加えて、航空写真は飛行機やヘリコプターからも撮影できます。米国地質調査所によると、リモートセンシングとは、離れた所からある場所の特徴を測定することで、航空画像は、リモートセンシングの一般的な形態の1つです。
写真画像は、データ共有の方法としては最もユーザーフレンドリーで、多くの業界で実用化されている傾向があります。しかし、写真測量法モデルに当てはめなければあまり正確ではなく、測量には推奨されません。
航空写真の定義は幅広いものの、EnvironmentalScience.orgによれば、画像は垂直またはオブリーク(傾斜)のカテゴリに当てはまる傾向があります。
垂直航空写真
垂直航空写真は、対象物の真上から撮影されます。カメラが真下を向いているため、遠近感の測定が難しく、結論が出しにくいものとなります。また、垂直写真は、オブリーク写真よりも高い位置から撮影することができるため、同じ高さから撮影した異なるエリアの写真を比較することも容易です。
一方でオブリーク写真は、手動で斜めに撮影するもので、45度前後の角度で撮影することが多いですが、対象物に応じてカスタマイズできます。真下を見る視点が得られないため、オブリーク写真は通常、低い高度から撮影され、大規模な測量プロジェクトでは使用が限られます。また、垂直方向の画像では正確に捉えることができない特殊な形状の地物にのみ適しています。傾斜写真の最も一般的な用途には、考古学や特定の環境科学プロジェクトなどがあります。
オブリーク航空写真
航空写真は、衛星画像とまとめて扱われることもありますが、実際には別のものです。航空写真は、ドローンなど多くの種類の機器で撮影でき、空中での高度も問いません。一方、衛星画像は、地球を周回している機器で撮影された写真でなければなりません。そのため、衛星画像は民間ではほとんど使われておらず、科学研究や気象の監視に使われることが最も一般的です。
航空写真と衛星画像は、両方ともリモートセンシングの形態とみなされていますが、衛星は地球のはるか上空という特殊な位置にあるため、気温の変化を把握するなど、さらに複数の用途があります。もちろん、より狭い範囲を対象としたプロジェクトや、非常に詳細な画像を必要とするプロジェクトでは、衛星画像の実用性は限られています。
ニューヨークの衛星画像
航空写真は古くから様々な科学研究に用いられてきました。また、技術の進歩や高品質なカメラ、UAVの低価格化に伴い、その商業用途が増加しています。しかし、航空写真には限界があるため、測量目的での利用は現実的ではありませんでした。
航空写真はある地域を視覚的に表すのに非常に優れていますが、この手段では、測量で求められるような、正確な座標をプロットするために必要な種類の精度は得られません。ブリタニカ百科事典によれば、垂直航空写真でも、座標がずれたりゆがんだりする可能性があります。また、垂直航空写真は、地形や深さに関する正確な情報が得られないため、信頼性の高い測定は困難です。完全に垂直な写真でもこれらの問題は存在します。そのため、具体的な測定値を収集する必要がない場合のみ、航空写真でも十分と言えます。
測量に対応する地図を作成するには、写真測量法、またはLiDARやマルチスペクトルなど、別の形態のデータセンサーで得られる機能を追加する必要があります。
垂直航空写真
写真測量で作成したオルソモザイク
航空写真は、優れた俯瞰画像を撮影して、地域の全体像を把握するためには使用できますが、ほとんどの測量に必要な精度に欠け、地形も表示されません。そのため、写真測量法が必要になります。
写真測量法では、対象物の複数の画像を撮影し、それらを用いてデジタル化された高解像度の2Dまたは3Dモデルを作成し、正確な測定値を推測します。プロジェクトの範囲に応じて、写真測量法により作成されたモデルは、数百から数千の別個の画像が必要になる場合があります。
GIS Loungeによると、複数の視点や「視線」を使って座標を配置するといった写真測量の基本原理は、150年以上前に開発されたものだそうです。しかし、デジタル画像やドローンのような空撮技術によって、このモデリング形式は新たなレベルに達し、利用されるようになりました。ペンシルベニア州立大学によると、航空写真が登場する以前、測量士は磁気コンパス、気圧計、製図台、巻き尺などの機材を使用して地形を求めていました。
今日、写真測量はドローン、飛行機、ヘリコプターなど、さまざまな機器を組み合わせて実施することができます。しかし、技術の進歩と低価格化により、多くの測量士がドローンを選択するようになりました。
写真測量法は、広義には、メトリック写真測量と解釈的写真測量法の2つのカテゴリーに分けられます。メトリック写真測量では、地物上の座標点を使用してほぼ正確な測定値で対象を可視化します。一方、解釈的写真測量法は、写真を撮影し、座標ではなく、画像で表されている形状や影、パターンなどの指標を使って地形を追加します。メトリック写真測量法の方が正確ですが、多くの状況では、解釈的写真測量法で十分です。どちらの場合も、コンピュータプログラムを使用して画像を組み合わせ、正確な3Dモデルを作成します。
写真測量法では、機能が増えることがありますが、一部の仕事にしか必要ではありません。GIS Resourcesによれば、一般的な使用分野には、以下が含まれます。
結局のところ、航空写真測量は、業界を問わず、地上での技術と比較して測量士にとって有利です。航空写真測量では、短い時間で多くのデータが得られ、測量士は危険な地域を避けながら、必要な情報を収集できます。その結果、多くの場合、企業のコスト削減につながります。さらに、写真測量法はデジタル画像を利用するため、本物そっくりで簡単に認識できる3Dモデルを作成することができ、さまざまな関係者が容易に利用できます。
写真測量法は、光検出と測距、つまり、LiDARとは異なることに注意する必要があります。写真測量法は座標を特定して正確な3D画像を作成しますが、LiDARは光波が地面で反射してドローンに戻るまでにかかる時間を測定して地形図を作成します。この測量技術は非常に正確ですが、同時に高価でもあります。機材は高価なだけでなく、かさばるため、ドローンが大型になってしまいます。
写真測量法またはLiDARにどちらが有用かという問題は、プロジェクトに依存します。LiDARは、現場の明るさにムラがあり画質に影響する場合に最適です。植物に厚く覆われた地域で作業する測量士にも、木や枝葉を貫通するLiDARが適している場合があります。その他の用途には、送電線のように非常に細いものを対象とするプロジェクトなどにも最適な場合があります。しかし最終的には、どちらの技術も機能的で簡単に適用できる3Dモデルを構築するために使用することができます。
航空写真を適切にスケーリングし、写真測量法モデリングに使用するには、画像のGSD(地上画素寸法) を計算する必要があります。GSDは、画像にある2つの連続するピクセルの中心間の真の距離を表します。つまり、GSDが1メートルと計算される場合、地図上のすべてのピクセルはその距離を表しています。これらの写真測量法の地図は複数のデジタル画像からも作られているため、航空写真と写真測量法の両方に正確なGSDが必要です。
必要なGSDは測量作業の範囲によって異なります。大きいスケールのプロジェクトには高いGSDが必要になります。つまり、地図全体の詳細度は低くなります。一方で、狭い土地に重点を置くプロジェクトでは、低いGSDを使用します。Aerial Survey Baseによれば、多くの測量士は、目標のGSDと最小のGSDの両方を選択します。これにより、地形の違いによりGSDがわずかに異なる画像でも使用できます。特に航空写真では一般的ですが、目標値と最小値の間に大きな幅を持たせることで、より多くの画像が使用できますが、扱うデータ量が大きくなるため、高い計算能力が必要になります。
GSDを計算するには、自分のドローンのことを知らなければなりません。
これらの数値は、お使いのドローンにもよりますが、簡単に調べることができます。そこから、オンライン計算サービスを利用するか、等式に数字を当てはめることでGSDを求めることができます。
ドローンによる写真測量法を活用することで、従来の地上測量と比較して、時間と経費を削減することができます。これは、マッピングドローンが、測量士とその雇用者の両方にとって価値ある投資だということを意味します。画像がこの技術の基盤になっているため、ドローンが写真測量法に対応できるようにするには、航空写真も撮影できる必要があります
次世代のマッピングを必要としているなら、Matrice 300 RTKが最適です。このドローンは、6方向検知とポジショニング、さらに最大3つのペイロードを積載可能で、スマートさとパフォーマンスを兼ね備えています。
適切な機能を備えたドローンを見つけることに加え、写真測量法の利用を検討している測量士は、DJI Terraのような直感的なドローンマッピングソフトウェアも必要です。Terraは、画像をまとめて測量を簡単にする、オールインワンのドローンマッピングソリューションです。必要なのが2Dマップでも3Dマップでも、このソフトウェアは、データを処理して正確な画像を表示します。
航空写真は、科学研究とマッピングに革命を起こしましたが、測量には写真測量法の機能を追加する必要があります。写真測量法は、正確な座標で高精度の2Dモデルと3Dモデルを作成するために使用されます。この技術とDJIのドローンおよびソフトウェアを理解すれば、どのような作業も難しすぎることはありません。
出典:
https://sciencing.com/difference-satellite-imagery-aerial-photography-8621214.html
https://www.gislounge.com/a-brief-introduction-to-photogrammetry-and-remote-sensing/
https://pubs.usgs.gov/gip/AerialPhotos_SatImages/aerial.html
https://enterprise-insights.dji.com/blog/drone-photogrammetry-for-terrestrial-surveying
https://www.environmentalscience.org/principles-applications-aerial-photography
https://www.aerial-survey-base.com/gsd-calculator/what-is-gsd/
https://www.e-education.psu.edu/natureofgeoinfo/c6_p11.html
https://www.britannica.com/technology/surveying/Aerial-surveying