DJI – Insights Blog

ドローンドック: 商用セキュリティの未来

作成者: DJI Enterprise|12月 27, 2024

 ドローンやロボットの遠隔操作と自動飛行は、イノベーションを通じ、世界的に事業運営が刷新されています。ドローンドックは、ドローン イン ア ボックス(Drone in a Box:DiaB)システムとも呼ばれており、sUAS(小型無人航空機システム)遠隔操作の最先端分野です。遠隔からの起動、飛行、監視機能を備えるため、DJI Dock 2は、さまざまな業界でシームレスに拡張性の高いドローンドックソリューションを実現します。

DJI Matrice 3TD

 公共安全機関は、ドローンの先駆者的な存在です。サーマルドローンを使い、刻々と変化する情報を収集するれば、リソースを効果的に配備することができます。最近では、商用セキュリティ部門やセキュリティサービスプロバイダーが、リスク評価、不審者が侵入した時の対応、貴重な資産の保護等に、ドローン技術を活用するようなっています。

商用セキュリティ課題を図示

 同様に、従来のセキュリティ手法では、企業が直面する動的な脅威に対処するには不十分なことが多くあります。対応範囲の制限から手動による介入、応答時間の遅延まで、企業はさまざまな障害に直面しています。製造工場や流通センターなどの産業施設では、その広大な面積、人員の安全リスクの観点より、独自の課題があります。

 遠隔操作技術により、企業の資産保護とセキュリティリスクの軽減手法が大幅に変革されてきました。DJI Dock 2などの革新的なアプリケーションを活用すると、セキュリティチームが迅速にドローンを配備し、広大なエリアの監視、不審な行動の追跡、緊急事態への対処をリアルタイムで実施できるようになります。このブログでは、商用セキュリティの概念や取組を通じて、セキュリティ管理に先を見越して対処することで、いかに資産保護を強化し、運用効率全体を向上できるかをご紹介します。

 

遠隔操作のイメージ図

 

パートナーシップを通じて実証実験を実施

 ミシガン州デトロイトにあるアメリカのメーカーと協力して、業界のリーディングカンパニーであるPremier Security社、DJI、Unmanned Vehicle Technologies (UVT)社は、DJI Dock 2を商用セキュリティアプリションとして活用して、4週間の実証実験を実施しました。

DJI Dock 2 設置風景

 

進歩に向けた詳細計画:ミッションの構成要素

 DJI Dock 2とDJI FlightHub 2を併用して、DJI Dock 2に対応するよう特別に設計されたDJI Matrice 3TDの機体と統合すると、このミッションの基盤となります。この包括的なソリューションスイートは、セキュリティ業界独自の要件に適応できるよう、慎重に選択されました。DJI Matrice 3TDは48 MPの広角カメラ、12 MPのズームカメラ、高解像度の640×512サーマルカメラの3つの高度なペイロードを搭載しているため、パイロットが状況を完全に把握できるようになります。

DJI Dock 2 の仕様

 

 DJI Dock 2とDJI Matrice 3TDを組み合わせることで、比類ない監視能力を実現して、資産、周辺地域、敷地内を詳細に監視することができます。ドローンは迅速な配備、自動起動、事前に計画済みのミッション実行などの機能を備えるため、空中からの連続巡視が可能になり、指定エリア全体をカバーすることができます。直接的な介入が必要だった頃には、パイロットは内蔵の1ステップ手動制御機能を使ってシームレスに制御して、FlyTo機能をワンクリックして対象エリアまで容易に飛行することができました。

 タスクエリアを管理することにより、チームは飛行区域を設定して、常に設定エリア内にドローンを維持することができました。さらにパイロットは、飛行禁止区域を設定して、「FlyTo」や「帰還」操作の実行時にドローンがDJI Dock 2への接続を失っても、自動回避してドローンを飛行させることもできます。

 DJI Dock 2には、クレードル着陸プラットフォーム設計が採用されており、DJI Matrice 3TDのミッション完了後に、安全で安定した着陸ゾーンが用意されています。この特長により、機体の安全性が確保して、すばやく容易に帰還できるため、重要なバッテリーを充電して、ダウンタイムを最小限に抑えます

データのセキュリティと共有

 監視時に収集されたデータの機密性を考慮して、AWS Security Cloudとの統合により、ミッションデータをすばやく安全に共有する強力なソリューションが実現しています。このシームレスな統合で、Premire Security社のグローバルセキュリティ オペレーションセンター(Global Security Operations CenterGSOC)および関係者と機密性の高い情報を共有できるようになり、その際にデータ完全性の低下や不正アクセスリスクはありません。

 

現地のパートナーがリモートでDJI Matrice 3TDのミッションを観察。

 

コンプライアンス

 飛行は、目視外飛行に関する14 CFR Part 107W-2024-00330の免除など、FAA規制に準拠して実施されました。コンプライアンス基準を厳正に順守できたため、今回の概念実証では、商用セキュリティ用途でドローン技術活用の実現可能性と安全性が実証されました。

手順

 UVT社の訓練を受け、Part 107 RPICライセンスを保有するPremier Security社パイロットが、ミシガン州バートンにあるGSOCの監視担当者と緊密に連携して、概念実証に臨みました。

 

飛行前ミッション計画会議

 

 パイロットは、標準作業手順(SOP)を徹底して順守して、2シフトで飛行しました。1日の作業は、飛行前チェックリストの実施から開始しました。これにはUAV飛行の天気予報確認、現場の目視観測担当者との連絡確認と全機材の目視点検、シームレスな操作を確保するためのバッテリー管理などが含まれますが、これに限定されません。

 

 担当の遠隔パイロット(Remote Pilots in CommandRPIC)は、対象の作業エリア周辺で事前にプログラム済みの定期飛行を実施しました。自動制御と手動制御を組み合わせることで、パイロットは、不審な活動を検出して対処することができます。そのため、リアルタイムで素早くデータを地上の制御装置に中継して詳細に調査できる一方、監視内容をライブ配信でGSOC統括に提供することができました。

 

未来への道程

 メーカー、Premire Security社、DJIUnmanned Vehicle Technologies社が協力した取組を通じて、ドローンドックソリューションは、商用セキュリティ運用を大きく変革し、資産の保護、セキュリティリスクの軽減、運用効率の向上を実現する多大な可能性が実証されました。

 将来的に、ドローンドックアプリケーションの採用が幅広い業界に拡張して、比類ない監視能力と状況認識能力により先を見越したセキュリティ管理が実現されるでしょう。

 今回の、実証取組の成功は、ドローン技術の革新的な能力と業界リーダー間のコラボレーションが証明されました。革新的な技術を活用し、戦略的パートナーシップを醸成すると、組織は進化し続ける脅威に先回りして、自社の利益を守り、資産と人材の安全を確保できるようになります。ドローンドック技術の可能性を活用すれば、セキュリティ課題が変化し続ける状況で、企業が自信を持って成長できる、より安心で安全な未来への道が開かれます。