DJI Enterpriseドローンの次の大規模ファームウェア更新がリリースされます。当社は、この数ヵ月間のユーザー フィードバックやテスト結果を、今回の更新に織り込みました。この更新には、Mavic 3 Enterpriseシリーズ、Matrice 30シリーズ、Matrice 300 RTKプロ用ドローン プラットフォームの様々な新機能が集約されています。毎日稼働する産業用ドローンが、これまで以上にパワフルに、機能的に、より役立つようになったと言っても過言ではありません
世界中でビジネスや行政、教育、公共安全に携わる無数のユーザーが、DJIの革新的なテクノロジーを使用して、より簡単かつスマートに、そしてより安全な方法で業務をこなしています。今回は、当社の主力ソリューションにいくつかの価値ある改善を導入することで、性能、運搬性、使いやすさを兼ね備えた当社の製品群をさらにパワーアップさせました。
以下、アップグレードの詳細が示すように、一部の機能は個々のドローンシリーズに対して固有のものです。しかし、新機能の多くは、Mavic 3E、M30、M300 RTKのプラットフォームのすべてに導入されています。重要なのは、それぞれの改善の内容が、お客様のフィードバックから直接得られたものであるということです。お客様の声を聞いて継続的に製品を改善することは、当社の基本的な理念の一部なのです。
では、2023年3月にDJI Enterpriseドローン向けにリリースされた、ファームウェア更新についての最新情報を見てみましょう。
ポイント オブ インタレストとは、新しいインテリジェント フライトモードのことです。これにより、すばやくPOIへの軌道に乗り、対象物の360度ビューとともに広範なデータを収集することが可能になります。これは、緊急時の初期対応機関や公共安全機関から最も要望が多かった機能の1つです。これがあれば、事故復旧のためのデータ収集を行ったり、現場で周回させたりするための軌道を簡単に追加できます。このツールを活用して、垂直の構造やエリアの情報収集を行うこともできます。
ここで、POIがMavic 3 Enterprise シリーズとどのように連携するかを見てみましょう。対象物の真上を飛行し、ドローンの位置にピンを落下させます。その後少し戻り、ピンを確認して、POIモードを有効にします。高度/ジンバルピッチ/速度を調整するオプションも表示されます。送信機の背面にあるC1を押して、現在の飛行速度を固定することもできます。これで、ドローンは、対象物を周回するときに、自動的に一定の半径を維持します。データを収集する場合は、時間指定の写真撮影機能をオンにします。
では、新しいPOIモードで簡単に実行できる、もう一つの非常に基本的な事例を紹介します。
この3Dモデルは、POIモードを使用して約4分間で撮影された、330枚の画像から得られたものです。Mavic 3Eは200メートルの高度で、対象物の周りを2 m/sで横向きに飛行しながら、1秒当たり1枚の写真を撮影しました。その後、 DJI Terraオールインワン マッピング ソフトウェアでデータが結合されました。
Mavic 3E, Mavic 3Tがオンボードセンサーのみを利用して地上の同一高度を安定的に飛行できるようにする、インテリジェント フライトモードが、新しいファームウェアによってよりスマートになりました。これにより、リアルタイム地形フォローにおける最低飛行高度が80 mから30 mまで低下しています。ドローンは地表により近づいて飛行できるため、対象エリアで収集できるデータの解像度がさらに高まりました。
現在、リアルタイム地形フォローは、30 m~200 mの高度範囲に対応しています。
今回、自律飛行ミッションを計画しながら、カメラジンバルの方向とピッチ/角度を設定できるようになりました。この機能は、建設現場や、ソーラーパネルに対してカメラを垂直に(または特定の角度に)維持しなければならない太陽光設備の点検において、特に有効です。
多くの要望が寄せられていたもう一つの機能が、今回のファームウェア更新で、Mavic 3Tプラットフォームに織り込まれます。それは、赤外線パラメーターの調整機能です。この機能により、ドローンと対象物間の距離の固定や、対象物の反射率の設定が可能となるため、Mavic 3Tは温度測定値をより正確に計算できるようになります。
このパワフルな新機能は、Matrice 30 シリーズ専用のものです。この機能を使用すれば、低照度条件であっても、ドローンのカメラとオンボードソフトウェアは、はっきりとした写真を生成することができます。Matrice 30 シリーズのこの最新のファームウェア更新により、ウェイポイント ミッション中の選択可能なアクションとして、スマート低照度写真が表示されるようになりました。
IMUキャリブレーションはLiDARの精度の前提条件であるため、最適な結果を得るためにはデータ収集の前後および間(フライト ミッション中100 sごと)に、Zenmuse L1のキャリブレーションが必要になります。あらかじめプログラムされているミッションでは、飛行ルートにキャリブレーション飛行が自動的に挿入されますが、手動飛行モードでは、作業者がドローンの前方30 mの範囲に障害物がないことを確認し、キャリブレーション ボタンをクリックする必要があります。今回のファームウェア更新では、DJI Pilot 2アプリの手動飛行インターフェースに、センサーのキャリブレーションをプロンプトで促すリマインダー機能が追加されます。
今回の更新で、オブリークおよびリニア飛行計画モードのときにも、非常に便利な地形フォロー機能を活用できるようになりました。また、P1センサーを有するM300 RTKを使用しながら、スマートオブリーク キャプチャーと地形フォローを併用することもできます。この機能があれば、ミッション計画モードの柔軟性が向上し、地形の変化があるエリアでも使用できるようになるため、効率性と利便性の両面で非常に大きな改善がもたらされます。
現在は、ドローンの高度な地形認識機能(別名:リアルタイム地形フォロー)が、スマートオブリーク キャプチャーにも対応するようになったため、上記の改善は、DJI Mavic 3 Enterpriseシリーズのユーザーにとって最も重要です。つまり、単に対象物を上空から撮影するのではなく、高度変動が大きいエリアであっても、簡単に3Dモデルを作成できるようになったのです。
地形フォローの際にDSMを使用すれば、自分で撮影したエリアをインポートしたり、インターネットからそのエリアをダウンロードしたりすることもできます(Pilot 2アプリを使用)。
以下に、各ミッションモードと地形フォローの互換性をまとめて説明した表を示しています。
地形フォローに対応するミッションのタイプ |
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2D マッピング |
スマート オブリーク |
オブリーク |
リニア |
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M3E DSM フォロー |
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✓ |
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✓ |
M3E リアルタイム 地形フォロー |
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X |
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M3T DSM フォロー |
✓ |
X |
✓ |
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M3T リアルタイム 地形フォロー |
✓ |
X |
X |
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M30 DSM フォロー |
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X |
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M300 RTK DSM フォロー |
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手動で飛行するときに、新しいボタンが表示されます。このボタンを使用すると、[Automatic Mission](自動ミッション)メニューが開き、飛行ルートを選択したり、新しいルートを作成したりできます。これまで、飛行中にミッション計画にアクセスする唯一の方法は、フライト画面を終了してPilot 2のホーム画面にまず戻ることでした。この新しい[Mission Planning](ミッション計画)ボタンは、手動モードに追加された便利な機能であり、実行したいミッションを選択したり、今いる地点から新しいミッションを作成したりできます。
これまでは、RCがインターネットに接続されているときにのみ、オフラインで使用するためのストリートマップをダウンロードできました。今回の更新では、Maptilerのウェブサイトを使用するためのオプションが追加されており、パソコンに様々なオフライン マップをダウンロードしたり、所有するデータをMBTilesフォーマットに変換したり、そのフォーマットのデータをRC上のPilot 2アプリにインポートしたりすることができます。
インターネットを使用していれば、利用できる衛星データはほとんどの場合正常に機能します。しかし、(採掘場や建築物などの)画像が古くなっている場合はベースマップを更新したり、(調査や救助作業時は)重要情報レイヤーの追加機能を使用したりすることをお勧めします。また、セキュリティ上の理由からインターネットに接続したくない一部のユーザーや、インターネット接続のない遠隔地に移動するユーザーのために、このオプションでは、完全にオフラインで衛星マップデータを使用できる機能を提供しています。
クラウドベースのドローンオペレーション管理プラットフォームであるFlightHub 2のユーザーは、新しい多角形-マッピング ミッションを使用して、変わりゆく状況に迅速に対応できるようになりました。この機能を使用すると、チームはプラットフォーム間で多角形を効率的に同期して、すばやくマッピングを行うことができます。
例えば、SARミッションのときに、コマンダーは自身のパソコンを使用して目的の領域に多角形を描画し、これを現場のパイロットに送信できます。ドローンのパイロットは、送信機でこの多角形を受信します。パイロットが多角形を選択すると、その多角形がボタンとともに表示されます。ボタンを押すと、ドローンに命令が送信され、その多角形で示されたエリアを自動的にマッピングするようになります。
安全性は、当社の設計理念の重要な部分です。当社は、安全性の改善に役立つ機能を継続的に追加しています。今回のファームウェア更新により、離陸時の高度制限設定機能が追加され、マッピングタスク中のルートの安全性を向上させることができます。
今回の更新で、ローカルデータ モードをオンまたはオフにするためのパスワードを設定するオプションが追加されました。これにより、誤ってキーを切り替えたことで偶発的にオフになる状況を防ぐことができます。パスワードを設定した後は、ネットワークセキュリティモードの変更や機能設定の調整には、パスワードの入力が必要になります。
そのほか、Mavic 3E/3T、M30/30T、M300 RTKドローンのプラットフォームに導入されたUIの改善やシステム アップグレードもいくつかあります。これには、DJI Pilot 2アプリのファームウェア更新プロンプトの最適化や、様々なモジュールによるログのエクスポート機能の追加なども含まれます。Mavic 3 Enterprise シリーズについてはこちらで、Matrice 30 シリーズについてはこちらで、M300 RTKドローンについてはこちらで、リリースノートの全内容をぜひご確認ください。
DJI製品の使用体験の改善を続けるため、ご提案やご意見がありましたら、これまでと同様に当社までお寄せください、お客様からのフィードバックは、お客様が必要とする更新の提供に役立つ貴重なものです。
過去数ヵ月間のDJIドローンの改善については、以下のリンクからご覧いただけます。