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ノルウェーの森林保全:M300 RTKとAIを活用するBiodroneが森林管理の効率性を高める

作成者: Bruce Crumley|3月 18, 2024

2021~2022年の冬、ノルウェーは、国の森林に大惨事をもたらす複数の異常気象に見舞われました。これらの異常気象により、数千世帯で停電が発生し、280万立方メートルもの森林が主に風倒による被害を受けました。15,000ヘクタールを超える森の木々が倒れた結果、ノルウェーには、史上最大規模の森林破壊がもたらされました。 

倒木による脅威

この倒木により、280万立方メートルの木々が伐採不可能となり、利用できる木材の総量が減少するという甚大な経済的損失のみならず、長期的な森林の健全性に対する脅威も生じています。倒れた木々は、放置されると枯れて腐敗し、キクイムシが繁殖する温床となります。また、森林火災や干ばつによる被害などのリスクが高まり、森林の価値を損なうことにもなります。 

これらの損失を軽減するために、できるだけ早く、損害を受けたエリアで、材木を運び出したり片付けたりする必要があります。森林のマッピングは、現場のチームや伐採業者を誘導するのに必要となる重要な手順です。 

しかし、ヘリコプターを利用してこれらのエリアのマッピングを行うには、多額の費用がかかります。風倒による被害を受けた森林を歩くのは、非常に危険です。木々には張力がかかっていることが多く、突然跳ね上がったりする場合もあり、こうした場所での作業に重大な危険をもたらします。 

ドローンを活用するソリューション

ノルウェーの森林所有者協会の支部であるAllskog、そしてオスロの森林保険代理店であるSkogbrandは、ノルウェーを拠点とするドローン サービス プロバイダーのBiodroneに連絡し、ドローン技術を利用して損害を受けたエリアのマップを作成するよう依頼しました。Biodroneは、林業、農業、自然管理分野において専門的なドローンサービスを提供することに特化している企業です。 

同社は、Matrice 300 RTK(M300 RTK)ドローンを使用し、写真測量とAIを組み合わせながら、樹木の位置や量の情報を含む、損害エリアの正確なマップを依頼者に提供しました。 

Biodroneは、M300 RTKを使用することでいくつかのメリットを得ています。EASA(欧州航空安全機構)規制の特定カテゴリーのドローン事業者として、同社は、地上から1,500フィートの高度での飛行が許可されています。加えてこのドローンの長い飛行時間を生かすことで、1時間当たり最大で650ヘクタールのマップの作成が可能になりました。これは、マッピングプロセスのスピードアップに役立ち、広いエリアの迅速かつ効率的な調査が可能になりました。このように高い高度では地表近くよりも風が強いのですが、M300の堅牢性と15 m/sの風に耐えられる性能のおかげで、チームは中断することなくエリアのマップを作成することができました。

ドローンオペレーションにおいて1,500メートルという高度は非常に高いものですが、P1の強力なセンサーにより、Biodroneは、5.6 cm/pxという地上画素寸法を達成できました。

森林用途に適したDJI Terra

Biodroneは、Zenmuse P1カメラで撮影された高品質画像を処理するために、写真測量とマッピング用のパワフルなソフトウェアであるDJI Terraを利用しました。DJI Terraにより、同社のチームは、損害エリアの正確で詳細なオルソ画像を作成できたのです。

DJI Terraの処理は非常に高速です。このデータセットには42メガピクセルの画像が7,500以上あるのですが、その処理に要したのはわずか5.5時間でした(Biodroneのゼネラルマネージャー、Atilla Haugen氏による)

Biodrone AI ポータル

その後、これらのオルソ画像は、ディープラーニングを使用してデータ分析を行うBiodrone AIポータルにアップロードされました。

Biodrone AIポータルは、特に林業用途向けに開発されたもので、高度な機械学習技術を使用して損傷エリアを特定し、材木の位置や量を特定することができます。

Biodrone AIポータルを使用して被害を受けた森林区域を特定することで、今回、風倒した木々の正確な場所や面積を含む概要を提供することができました。

AIポータルから得られた結果には地理的情報が付加されるため、伐採業者の装置に正確な損害箇所を表示させることも容易です。これは、ポータルから結果をGeoJSONファイルとしてダウンロードし、伐採業者の端末にロードすることで行われます。

また、このポータルはオルソ画像をWMS、WFS、またはWMTSとして共有し、伐採業者の端末に個別のマップとして表示させることもできます。これにより、伐採業者の作業者は、ミッションを詳細に計画し、より効率的かつ正確な作業を行うことができます。

これらの成果により、伐採業者はいっそう効率的に作業を計画できるようになり、これらのエリアでの作業に伴うリスクを最小限に抑えながら、損害を被ったすべての森林に対処することができました。

Biodrone AIポータルにより、AIモデルの選択とデータ上の実行が容易になります。このプラットフォームを使用し新しいAIモデルを作成。Terraからオルソ画像で視認できる限りあらゆるものを検出し、学習させることができます。 

ドローンとAIで森林管理を強化

一部の山岳地域では課題があったものの、Biodroneは、マッピング プロジェクトを効率的かつシームレスに完了することができました。ドローンを使用することで、損害エリアのマッピングを迅速かつ安全に行えるようになり、さらなる損害が発生する前に、材木を伐採できるようになったのです。 

全般的に見れば、このプロジェクトは、林業界でドローン技術を使用することのメリットに光を当てたと言えます。これは、2021~2022年にノルウェーを襲った異常気象のような危機にあっては特に際立っています。Biodroneが有するドローンサービスの専門知識は、AIと高度なドローン技術と融合することで、損害エリアの正確なマップを依頼者に提供し、林業界のさらなる損失を防止することができました。

Biodroneについて

Biodroneは、北欧を拠点とする優れたドローン サービス プロバイダーであり、林業・農業分野においてその専門性を認められています。これらの業界を深く理解している同社は、特に林業用途向けに開発されたDJIのハードウェアと独自のソフトウェアのパワーを活用して、最先端のマッピングサービスを提供しています。

Biodroneは、ドローンサービス業界のリーダーとして現場で様々な経験を積むことで、その顧客に優れた成果をもたらし続けています。同社は、信頼性、堅牢性、そして卓越した飛行能力で名高いM300 RTKなど、最先端のDJIドローンを採用しています。これらの高度なドローンと森林のマッピングに関する専門知識を統合することで、Biodroneは、最高レベルの精度と効率性を持つサービスを提供しています。

Biodroneの主な差別化要因の1つは、林業用途向け専用に社内開発されたソフトウェアです。この専用ソフトウェアを使用する同社のチームは、DJIドローンによって取得されたデータを分析・処理し、森林エリアの正確で詳細な地図を提供することができます。Biodroneは、自社のソフトウェアを活用することで、森林の健康状態や損害評価、リソース管理に関する総合的な洞察をもたらし、林業界における持続可能な取り組みをサポートしています。

特筆すべきは、BiodroneとDJIとの強固な提携です。これは、ハードウェアやソフトウェアの利用にとどまりません。Biodroneは、DJIの認定代理店として、林業用途でドローンの可能性を活用したいと考えている顧客を支援しています。また、専門的ガイダンスや包括的サポートを
提供し、DJIの最新技術を利用できるようにすることで、顧客がドローンを効果的に活用し、
森林管理を改善できるようにしています。

持続可能性とイノベーションに重点を置くBiodroneは、林業界と農業界を変革する先駆者となっています。同社の高度なドローンサービスは、その専門知識やDJIとの戦略的パートナーシップとの統合により、持続可能なマッピング ソリューションの提供や業界における前向きな変化をリードしています。