DJI – ユーザーストーリー

日本で次に起こりうる自然災害への対策でドローンが活躍

作成者: Ishveena Singh|3月 25, 2024

日本はその風土により、地震や火山の噴火、津波が頻発しています。このような災害を阻止する技術はありませんが、将来を見据え、災害の防止と対策にドローンを導入することで、このような危険が地域に及ぼす悪影響を低減できます。

これは、河野太郎デジタル大臣も認識していることです。デジタル大臣主導のもと、特定の場所で人間の立ち会いを義務付けている国の規制のうち、9,000を越える条項 が専門家の間で見直され、改訂が進められています。政府が導入を検討している改革の1つが、ダムや橋などの重要なインフラの点検を、人の目による確認からドローンに置き換えることです。もう1つの構想は、人工知能で自然災害による損害の程度を測定することです。

このように、デジタル化に焦点を当てて専心的に取り組むことは、先進技術での数々の躍進にもかかわらず、世界的なデジタル化の波に遅れをとってきた日本にとって新しい試みです。しかし、こうした試みは、しばしば自然の脅威に圧倒されてきた我が国に、大きな変革をもたらす可能性を秘めています。

自然災害対策用ドローン

早期からドローン技術を導入した数社が、レジリエンスの構築と緊急対応の改革に必要な事業に着手しています。日本の災害対策の改善にドローンを活用するパイオニアである、3つの組織を紹介します。

株式会社スカイ・ジョイント:使命を背負って

DJIが、測量とマッピングの世界を恒久的に変えたPhantom 4を発売したのと同じ年に、程内琢磨氏はスカイ・ジョイントを設立しました。航空自衛隊を退職した程内氏にとって、テクノロジーやデジタル化の力は遠い存在ではありませんでした。同氏は2016年に、写真測量、レーザー測量、赤外線調査、マッピング、3Dモデリング、体積計算をワンストップで提供する企業である、スカイ・ジョイントを立ち上げました。程内氏はドローンを活用することで、プロジェクトのコスト削減と効率化に成功しましたが、空を飛ぶセンサーが自然災害対策に真の変革をもたらすことに気づいたのは2018年のことでした。

20187月、西日本は大規模な豪雨災害に見舞われました。洪水や山崩れにより、200人を超える人々が命を落としました。インフラの損傷は広範囲に及び、ほとんどの被害地域は車両で到達することもできませんでした。そこで程内氏は、Matrice 210とドローンバッテリー約10個、D-RTK 2 GNSSモバイルステーションを携え、広島、岡山、愛媛の災害被災地2,400ヘクタールを調査しました。被災地域の航空画像と3Dマッピングは、孤立した地域にアクセスするための計画の立案と安心をもたらしたという点で高く評価され、ドローンが収集したデータは首相が参加した説明会でも使われました。

程内氏は、特に日本の約4分の3を占める山間部のマッピングに、ドローンが有効であったと語っています。地上で行う測量と比較すると、ドローンによる測量では所要時間が80%短縮されます。例えば、従来の方法で起伏の多い地形120ヘクタールを調査する場合、通常約8ヵ月かかり、データの後処理にさらに6ヵ月を要します。一方、Matrice 300 RTKをはじめとする強力なマッピングドローンは、同じ調査をわずか3回の飛行で完了し、写真測量処理ツールにより詳細なマップを約2週間で作成できます。

高精度3Dマップとモデルをわずかなコストで作成できるため、地形測量をより頻繁に実施できます。危機管理の専門家がこれらのマップを過去の資料と比較することで、土砂災害の危険などのリスクをより正確に検出できます。

RED GOBLINS:ビジョンを共有する都市とチーム

RED GOBLINSは、愛知県豊橋市を拠点とする、ドローンによる緊急対応チームです。山と海の両方に囲まれている豊橋市は、都市災害に加え、山崩れと津波の二重の脅威に晒されています。そのため、RED GOBLINSが重視しているのは、不測の事態が発生した場合に初期対応者にリアルタイムで情報を提供することです。これには、被害の文書化とマッピングの両方に加えて、捜索や救助活動を行う緊急対応班の支援も含まれます。

この取り組みのはじまりは、約3週間も続いた破壊的な2017年の台風第5号(NORU)にさかのぼります。この台風で2人が亡くなり、被害額は1億ドル以上に上りました。当時、豊橋市ではNORUの猛威が明確に評価されておらず、緊急対応が遅れていました。しかし現在では、RED GOBLINSというドローンチームが結成され、迅速に必要な情報を収集するDJIドローンが配備されています。

最近起こった土砂災害で、RED GOBLINSはMavic 3 Enterpriseを使用し、3D正投影地図を作成しました。チームは、ドローンの20 MP広角カメラ、56倍ハイブリッドズームカメラ、および被写体のブレを抑え、0.7秒間隔のインターバル撮影をサポートするメカニカルシャッターにより、被害状況を調査しました。続いて、パイロットがDJI Terraのマッピングソフトウェアで画像処理を行い、10分以内に現場で共有可能なデータを作成しました。これらはすべて、ミッションを中断することなく行われています。

最近では、消防署と共同防災訓練を実施し、消火活動中の人命救助にMavic 3 Thermalドローンを活用する方法を研究しました。その結果、RED GOBLINSは、Mavic 3 ThermalドローンとDJI Terraソフトウェアにより半径100 mのオルソ画像と3Dデータをわずか数分で作成することに成功しました。火災現場を俯瞰的に捉えただけでなく、建物の大きさや高さなどの有用な情報を救助戦略に役立てることができました。さらに、Mavic 3Tのサーマルカメラが熱源を検出したことで、建物内に閉じ込められていた要救助者の場所を特定することができました。

中電技術コンサルタント株式会社:確かな精度を約束する

2014927日に発生した中部地方の御嶽山の噴火は、明確な前兆なく発生し、60人以上のハイカーや観光客が山の斜面で命を落としました。これは、国内でこの100年に発生した、最も死者数の多い火山噴火であり、火山の警戒に再び焦点が当てられるきっかけとなりました。

しかし、「言うは易し行うは難し」です。日本国内で知られている活火山は111あり、被害を最小限に抑えるには、噴火のリスクを正確に認識する必要があります。

最も有名な火山の1つに、東京から南西1,000キロに位置する桜島があります。桜島が噴火すると、地域住民は山崩れや土石流の危険に晒されます。噴火の頻度も高く、ある推計によれば1年で100回以上とも言われています。最大警戒レベル5を記録した直近の大規模噴火は、2022年7月に発生しました。火山を対象としたリスクモデルの有力候補に桜島が上がるのは当然のことと言えます。 

近年、この事業を受託したのが、広島を拠点とする中電技術コンサルタント株式会社です。同社は60年近くも技術的評価や環境評価のサービスを提供しており、2015年にDJIドローンを導入しました。活火山の調査には多くの危険を伴うため、同社は有人ヘリコプターを派遣する代わりに、Matrice 300 RTKドローン、Zenmuse P1フルフレームセンサー、DJI Terraソフトウェアをチームに装備することを決定しました。 

全天候型ドローンにより、チームは高精度の地形データを5 cm未満の測定誤差で収集できるようになりました。また、DJI Terraによって9,000にも上る画像を1日で処理し、火山周辺の3Dモデルを作成して潜在リスクの調査とアクションプランの策定を行うことで、リスクの軽減に成功しています。信頼性が高く効率的なソリューションによって高精度の火山調査を実現した同社は、適宜に変化を検出するために、桜島にM300 RTKを繰り返し派遣する予定です。

愛知県豊橋市での調印式でドローンの活用促進を約束

2023年2月28日、DJI JAPAN株式会社、豊橋市(愛知県)、中京テレビは、ドローンの活用による災害時の対応の強化、雇用の創出、豊橋市の発展の促進を定めた協定を締結しました。調印式には、DJI JAPAN代表取締役Allen Wu、豊橋市長 浅井由崇氏、中京テレビ放送ビジネスプロデュース局長 村井清隆氏が出席しました。重要な節目となったこの調印式は、昨年から実施している、ドローンを活用した救助や復旧活動などの防災訓練を通して築き上げられた連携の印です。この合意は、豊橋市の安全と発展に向け、DJI、中京テレビ放送、豊橋市の提携関係が深められたことを示しています。

今回の合意により、豊橋市、DJI JAPAN、中京テレビは、協力して災害対応におけるドローンの使用をさらに推進し、機器や資材を有効活用して、災害対応能力を向上させていきます。その目的は、豊橋市の整備や雇用機会の拡大により、豊橋市の発展に寄与することです。この合意の条項に基づく具体的な活動の詳細は、今後策定されることになっています。

調印式の後、当社代表取締役のAllen Wuと浅井市長は、主要な取り組みと将来の展望について話し合いました。浅井市長は、過去のドローン活用の事例として、台風の影響で多数の流木が渥美半島沿岸に打ち上げられた時のことを語りました。そして、従来は数日かかっていた現地視察が、ドローンによって1日で完了したことを紹介しました。代表取締役のAllen Wuは、防災という分野で豊橋市がドローンを活用していることは、世界的にみても先進的であると語りました。また、ドローンの使い方やアイデアについて、これまで以上にアドバイスを求めていることを示しました。 

(左から)中京テレビ 村井ビジネスプロデュース局長、愛知県豊橋市 浅井市長、DJI JAPAN 呉社長

未来に向けた無限の可能性

小型で瞬時に配備可能なDJIドローンの活用により、スカイ・ジョイント、RED GOBLINS、中電技術コンサルタントは、日本の災害対策に変革をもたらしました。ドローンでデータ収集の速度と効率が向上するだけでなく、DJI Terra ソフトウェアとの併用により、精度が高く有効なデータを数分で取得できるため、公共の安全を担うチームは、より迅速に情報に基づいた意思決定を行うことができます。      

防災技術の可能性は、ほぼ無限です。ドローンは、災害発生前は影響を低減するためのリソースとして、災害発生時には助けが必要な人を支援するツールとして、災害後は復旧のソリューションとして機能します。

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