「現場にどの程度の在庫があるだろうか?」または「備蓄品の量はどのくらいだろうか?」と自問することはありませんか?
これは、AECや鉱業、農業分野に従事する人々の頭を毎日よぎる、よくある疑問です。現場全体の在庫を正確に把握することは重要であり、現場の備蓄品の量を計算している現在の頻度は決して十分とは言えません。安全性と時間がかかることに対する懸念が、現場で迅速かつ正確な測定をすることを妨げているのです。しかし、現場の備蓄品の量を非常に正確かつ高頻度で計算できるとしたら?DJI EnterpriseのドローンとDJI Terraソフトウェアを使用すれば、備蓄品量の計算がかつてないほど簡単かつ迅速、そして安全になります。
備蓄品とは?
備蓄品とは、実際にはどのようなものを指すのでしょうか?ドローンを使用すれば、積み上げられている備蓄品の山を簡単に測定できます。備蓄品の山の大きさや山の数は、使用事例によって異なる場合がありますが、備蓄品の山はどんなものでも正確に測定できます。建設現場では、土工作業段階で、現場から切り出された土砂の山が作業現場に複数あるというのが一般的です。鉱業においては、鉱物の購入や販売、または現在の現場の価値の把握のために在庫管理が重要な要素となります。農業においては、多くの酪農場や畜牛場で、家畜の飼料が大量に貯蔵されています。現在ある飼料の量を知ることは重要です。追加の牧草や穀物を購入したり収穫したりするタイミングを計算することに役立つからです。
ドローンでの備蓄品の測定ワークフロー
では、ドローンを利用して備蓄品を測定する手順を見てみましょう。
- 適切なハードウェアの決定
- ミッションの作成
- DJI Terraでのデータ処理
- 備蓄品のエクスポートデータの分析
- サードパーティソリューション
適切なハードウェアの決定
備蓄品の測定に適したドローンを決定する場合、画像の鮮明度とデータの精度という2つの重要な要因を考慮する必要があります。
大型センサーや機械式シャッター、高品質の光学センサー、メガピクセル数の大きなカメラを使用すれば、鮮明な画像を得られるでしょう(ただし、メガピクセル数が大きければよい、というわけではありません)。
データの精度については、より多くの衛星を利用するGNSSレシーバーをドローンに搭載すれば、精度を大幅に高めることができます。また、RTKで処理されるデータは、高レベルの絶対精度を達成できます。つまり、時間が経過しても、データはほぼ完全に整合するということです。これは、毎回同じ備蓄品の山の上を飛行する場合に非常に重要になります。備蓄品ヤードや採石場の全体の位置が時間の経過とともに変化することはほぼありませんが、現場内の備蓄品の山は常に大きくなったり、小さくなったりしています。RTK、GCPのいずれもない場合、マップは数フィートずれる可能性があり、2つの日付の間の変化を計算するときに備蓄品量の測定値が不正確になることがあります。
適切なドローンを決定するもう1つの要素は、現場をよく理解するということです。現場の広さと環境によっては、ドローンを長時間飛ばしたり、ドローンに高いIP等級が必要になることがあります。また、草木が密に茂っている場所の備蓄品測定では、ペイロードをLiDARに交換する必要があるかもしれません。
業界をリードするMavic 3 Enterpriseは、備蓄品の測定が必要なお客様の多くにとって、市場で最適のドローンです。4/3インチで20MP画像の大型センサーを搭載し、価格に対して比類のない高さの画質と鮮明さを実現しています。また、Mavic 3 Enterpriseには、より正確に画像のジオタギングを行うためのRTKレシーバーと、画像のブラー/不正確さを最小限に抑えるための高品質メカニカルシャッターがオプションで用意されています。これらを使用すれば、精度をさらに高めることができます。また、Mavic 3 Enterpriseシリーズで最も人気のモデルは拡張性が非常に高く、一連の機能をお手頃な価格でお求めいただけます。
測定が困難な、または広い現場の場合、DJI Matrice 350 RTKとZenmuse P1が最適です。P1には、45MP画像を撮影するフルフレームセンサーが搭載されています。これにより、Mavic 3 Enterpriseと同じ地上画素寸法を維持しながら、より高い高度での(つまりより広い範囲の)飛行が可能になります。P1は、より高い精度を得るためにメカニカルシャッターも使用しています。Matrice 350はペイロードの切り替えが可能なため、現場に備蓄品の山を草木が高密度で覆っている場合でも備蓄品量を計算できます。(ただし、精度を高めるにはLiDARが必要です。)Zenmuse L1ペイロードは、LiDARから正確な点群を収集することに役立ちます。これは、備蓄品測定にも使用できます。通常、草木に覆われている備蓄品の測定にLiDARを使用する場合は、測定のデジタル地形モデルを生成する必要があります。
ミッションの作成
備蓄品量を計算する場合、マッピングミッションを計画することが自動飛行の推奨手順となります。コントローラーでDJI Pilot 2アプリを表示しているときに、画面右側の[飛行ルート]オプションを選択します。次に、ルートを作成します。プロンプトが表示されたら、[マッピング]オプションを選択します。
コントローラーがインターネットに接続されていることを確認してから、現場を拡大します。[カメラ]を選択すると、自動飛行ルートが生成されます。多角形の境界にある白い点をドラッグして、飛行したいエリアを指定します。
多角形の準備ができたら、一部のミッション設定を確認する必要があります。[スマートオブリーク]がオフになっていることを確認します(備蓄品データの撮影は直下(NADIR)方向のみとなります)。ただし、地形が大きく変化した場合は、[地形フォロー]をオンにします。Mavic 3 Enterpriseは、リアルタイム地形フォロー機能を利用できますが、DSMインポートもサポートされています。地形フォローの詳細については、こちらのYouTubeの動画をご覧ください。
次に、飛行高度を設定します。備蓄品の場合の推奨飛行高度は約250フィートAGLです。これより高い高度で飛行すると、地上基準点(GCP)やチェックポイントを正しくタグ付けることができなくなりますが、これより低くするとミッション時間が長くなります。Mavic 3 Enterpriseは、RTKレシーバーを搭載した状態で42分間も飛行できます。現場が20エーカー未満の場合は、高度を下げてより高解像度の画像を得ることができます。マッピングセンサーの撮影間隔は0.7秒であり、メカニカルシャッターを使用すれば、飛行速度は(安全な条件であれば)最高速度に設定できます。
[高度な最適化]はオフにする必要があります。備蓄品分析では、NADIR画像のみを取り込むことができます。
[詳細設定]では、[サイドオーバーラップ]と[フロントオーバーラップ]を変更できますが、デフォルト設定(70%サイドオーバーラップと80%フロントオーバーラップ)のままにすることをお勧めします。
準備ができたら、ミッションを保存し、その後ミッションを再生します。これにより、最後の数回のミッション設定とともに飛行前のチェックリストが表示されます。2ページ目には、カメラ設定のオプションが表示されます。マッピングを初めて行う場合は、自動モードを使用することをお勧めします。画像の明るさの問題やシャッター速度が遅いという問題がある場合は、カメラをM(手動)モードに設定し、シャッター速度を最小の1/1000に変更して、[歪み補正]をオフにすることができます。シャッター速度を1/1000にロックすると、モーションブラーを最小限に抑えることができますが、画像が暗すぎる場合は、飛行中にISOを調整してください。これで、飛行の準備が整いました。
DJI Terraでのデータ処理
現場が撮影されたら、データを処理します。マイクロSDカードを取り外し、コンピュータに差し込みます。DJIの写真測量エンジンであるDJI Terraを起動します。[再構築]タブの左下隅の、[新規ミッション]を選択します。[可視光]を選択すると、新しいプロジェクトが作成されます。
画像をインポートするには、フォルダーアイコン(右上)を選択します。これにより、各画像の画像位置が表示されます。地上基準点またはチェックポイントが現場で撮影された場合は、GCP管理ツールを使用してマーカーのタグ付けを補助します。Matrice 350 RTKとMavic 3 EnterpriseではRTKを利用するため、GCPは不要ですが、チェックポイントターゲットについては常に調査の精度を確認することをお勧めします。
[2Dマップ]と[3Dマップ]を切り替えて、それぞれからエクスポートする必要がある特定のファイルタイプを選択します。次に、[再構築の実行]を選択します。データの処理が完了すると、備蓄品の測定準備が整います。
備蓄品の分析
マップまたはモデルを表示する場合は、右下の[注釈と測定]ツールを使用します(下にスクロールしなければならない場合があります)。DJI Terraの注釈ツールと測定ツールを使用すると、ピンを落下させて位置の座標を取得したり、備蓄品の山の間の距離を測定したり、マップ内の面積を測定したり、多角形の体積を測定したりすることができます。
備蓄品を測定するには、[体積]ツールを選択し、備蓄品の周囲をクリックします。ダブルクリックして注釈を終了すると、Terraは山の体積を計算します。
山を計算すると、出力が[カット量]と[充填量]で表示されます。また、ベース平面を次の2つのオプションのいずれかに変更することもできます。
- 均一面:注釈全体の高度を平均化して、備蓄品の山の底部を計算します。これは、ほとんどの備蓄品に推奨される設定であり、自立した山の場合に最も正確です。
- 最低ポイント:備蓄品がバンカー内にあったり、壁に押し付けられたりしていることがよくあります。このオプションでは、バンカーの背面を測定できないため、備蓄品の高度の最低位置を使ってベース平面を測定します。
注釈を計算したら、注釈を保存してその山の記録を保持できます。注釈は、注釈名、使用したベース平面、カット値、充填値を含む1つのxlsxシートとしてエクスポートできます。
エクスポート
DJI Terraには備蓄品を追跡・記録する機能がありますが、多くの場合、お客様はお好みのソフトウェアプラットフォームにデータをインポートすることを選択されます。エクスポートしたデータを理解するには、ご使用のソフトウェアがサポートするデータ層の種類を把握しておくことが重要です。備蓄品の測定の場合、最も一般的な2DエクスポートオプションはTIFF画像です。3Dの場合、ほとんどの備蓄品解析ソフトウェアでは、3Dメッシュではなく点群を使用します(通常はLASファイル形式です)
マップまたはモデルをエクスポートするには、クリックして[ホーム]画面に戻り、プロジェクトを強調表示します。[エクスポート]オプションを選択し、エクスポートするデータ層を選択します。
サードパーティソリューション
AECおよび鉱業分野において、土工作業分析や備蓄品分析で最も一般的なソフトウェアはTrimble Business Centerです。DJI TerraからTrimble Business Centerにデータをインポートする方法については、当社のガイドをご覧ください。
また、当社の処理パートナーの1社を利用してドローンデータを処理することもできます。DroneDeploy社とPropeller Aero社のどちらも、備蓄品の測定に役立つ堅牢なツールを有しています。通常、これらのツールはTerraよりもコストがかかりますが、多くのツールが追加され、データがクラウドに保存されるようになっています。DroneDeployの備蓄品分析ツールの機能の例には、備蓄品の経時的な測定、輪郭線の表示、材料密度とコストの割り当てなどがあります。
お読みいただきありがとうございました。ドローンに関する他のコンテンツやガイドなども、ぜひご覧ください。