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Altametris社、わずか20分で鉄道用地の3Dマップを正確に撮影

作成者: DJI Enterprise|11月 29, 2021

DJI Matrice 300 RTKとZenmuse P1は測量及びマッピングの新しい業界標準となるでしょうか?フランス国有鉄道(SNCF)傘下の企業であるAltametris社は、データ収集、処理、分析の分野のパイオニアであり、DJIソリューションを業界の厳しいテストで検証した結果、新しい業界標準になるものと確信しています。

ドローンを活用することで測量作業を次の段階へ 

2021年1月4日の朝、Altametris社のドローンスペシャリストが、様々な測量方法をテスト、比較するために、 フランス国有鉄道(SNCF) の路線の一区画に赴きました。これまで、3 cmの精度で結果を得るには、1平方キロメートルあたり約40か所の 地上基準点(GCP) を設置する必要がありましたが、これは3時間以上を要する手間のかかる作業でした。別の選択肢として、高精度のタキオメーターを使用する方法がありましたが、やはり完了までにはその2倍の時間がかかっていました。


Altametrisの鉄道線路地図作成・測量の様子。GCPは黒と白の市松模様のプレートで実体化されており、この中心の座標をGPSスペクトラで登録しています。(画像提供:Altametris)

これらの手法はいずれも、線路上及び線路周辺で機材を直接取り扱う必要があるため、オペレーターに一定のリスクをもたらします。さらに、複雑な鉄道地形を正確にマッピングすることは非常に難しいため、多くの時間と労力を要します。時間と安全性は測量作業が成功するための重要な要因であるため、革新的な測量方法は高い競争優位性につながる可能性があります。 


測量作業は、作業員にとって大きな安全リスクを伴うことが多いです。DJIのドローンによる測量・マッピングソリューションを使用することで、線路の周りを移動する必要がなくなりました。(画像提供:Altametris)

このような理由から、AltametrisはDJI Matrice 300 RTKとZenmuse P1 ペイロードをテストしたいと考えていました。従来の方法が面倒だったことから、同社はドローン測量ソリューションの導入を通じて効率と安全性の大幅な向上を望んでいました。内蔵のRTKモジュールと、Zenmuse P1のフルフレームセンサーの中心点にスマートにリンクされた大量のメタデータにより、GCPの数を実際ゼロにまで減らすことができました。しかし、Altametrisは品質管理の目的で6か所のGCPを設定することにしましたが、それでも作業の準備時間は2時間以上短くなりました。


従来の測量や地図作成には2~3人のスタッフが必要でしたが、ドローンのオペレーターは1人で済むため、コスト削減につながります。(画像引用元:Altametris)

低照度条件でも高性能

DJI Matrice 300 RTKが空撮マッピング及び測量ソリューションの基礎を築く一方で、Zenmuse P1 ペイロードとそのフルフレームセンサーが測量作業を次の段階に引き上げます。

マッピングオペレーションの当日、現場では照度が非常に低かったため、最初に6か所のGCPを設定しました。全ての準備ができた後、ドローンのコントローラーでマッピング対象のエリアを選択し、Zenmuse P1 を搭載したDJI Matrice 300 RTKを起動しました。20分以内に、メカニカルシャッターを備えたZenmuse P1は、全てのチェックポイントで最大5つの異なる角度(前方、左、右、上、後)から合計641枚の写真を自動的に撮影しました。


DJI Matrice 300 RTKは、ケースに入れて簡単に持ち運ぶことができます。展開はわずか数分で完了します。(画像提供:Altametris)

Zenmuse P1 ペイロードのスマートオブリークキャプチャー機能により、このような短時間でこの量のデータを受信することが可能になりました。カメラは各チェックポイントで自動的にチルト及び回転し、あらゆる角度から一連の写真を撮影します。この機能は事前に計画された飛行ルートに紐付いており、オペレーターは遠隔で安全な距離からボタンを押すだけで、ドローンのマッピングオペレーション全てを実行できます。ドローンのオペレーターは、照度条件が最適でなかったにもかかわらず、まさにこの機能を実行しました。

Altametrisが驚いたのは、低照度は画質に全く影響しなかったことです。それどころか、Zenmuse P1は、そのフルフレームセンサーによって非常に正確なデータを生成しました。写真にはノイズが全く入っていませんでした。この点が非常に重要となる理由は、今回のような高度での測量では、 地上解像度が大きくなるほど、数ピクセルのノイズでさえ地上での数センチメートルに相当し、最終的なモデルの精度が大幅に下がるからです。

ドローン測量と写真測量用のDJI Terra ソフトウェア

次のステップとして、641枚の写真をDJI Terra ソフトウェアにインポートして、最終的な3Dモデルを作成しました。これは、ソフトウェアが画像から点群を自動的に作成し、異なる複数の画像のピクセルを関連付けることでつなぎ合わされます。点群は、後に最終的な3Dモデルにレンダリングされる3Dメッシュの基礎となります。

P1から生成した点群マップは、ノイズが少なく生成され、電線も見えています。(画像提供:Altametris)

 

(画像提供:Altametris)

 

鉄道からのノイズも少ない(画像提供:Altametris)

 

(画像提供:Altametris)

Matrice 300 RTKとZenmuse P1のパッケージは、これまで以上に要求の厳しい写真測量のニーズに応えるための品質と時間の節約を提供します。- Altametris社、Quentin Leemesle氏

このプロセス全体が自動化されているため、ドローン測量や写真測量の分野の初心者ユーザーにとっても非常に分かりやすくなっています。もちろん、点群を手動で調整して、誤って互いに関連付けられた点を修正することもできます。Altametrisの場合、ピクセルは全て正しく関連付けられていたため、3Dモデリングをすぐにレンダリングできました。2時間以内にモデルが完成し、分析の準備ができました。

衛星測量からドローン測量へ大きな飛躍

GCPやタキオメーターによる方法は、利用する衛星が地球の外気圏を周回しているにもかかわらず、三角測量技術により非常に正確です。この精度に合わせることは、地図作成や測量の代替手段にとって大きな課題となります。Altametrisは、ドローンのマッピング結果の精度を、コントロールGCPの精度だけでなく、同じ現場で以前に行われたマッピング結果とも直接比較することができました。

Zenmuse P1 を搭載したDJI Matrice 300 RTKの結果は、約2 cmの精度でした。これは、タキオメーターのミリメートルの精度に迫り、GCPによる方法の2~3 cmの精度に匹敵しました。

ただし、DJIドローンによってキャプチャーされた膨大な量のデータを考慮すると、この精度は比類のないものです。これにより、広大なエリアの非常に詳細なモデルを短時間で作成できます。


Altametrisが鉄道を調査する際に使用したフライトとマッピングのプロセス

DJIドローン測量の先にあるもの

Altametrisは、アナログ資産のデジタル化や測量されるものが増えるにつれ、正確かつ大規模なデータのニーズがますます高まると予測しています。この状況への最良の解決策を追求する上で、次の3つの主な要因が評価の基本となります。

  1. 精度
  2. 速度 
  3. コスト

プロ向けドローンの販売代理店であるAbot社のMaxence Trogneux氏によると、DJIのドローン マッピング ソリューションは、大規模な測量およびマッピング オペレーションに関して、この3つの要件を最もバランス良く満たしています。

位置や高度などの存在し得るメタデータによるインテリジェント コネクションは、RTK測位モジュール(GPS L1 L2、GLONASS L1 L2、BeiDou B1 B2、Galileo E1 E5a)、自動化されたスマートオブリークキャプチャー機能のカメラ角度及びセンサーの中心点を利用することで、従来の測量やマッピング方法よりも最大15倍高速で安全でありながら、非常に正確なドローン測量結果を生み出します。DJI Matrice 300 RTKは、Altamterisで使用されているGCP + Spectra GNSS受信機よりも安価でありながら、さらに重要な点は、マッピング可能なエリアのサイズに関して実質的に制限がないことです。55分の飛行時間でカバーできないエリアがあっても、内蔵のホットスワップ機能により、ドローン測量士はバッテリー交換後もシームレスに操作を続けられます。


GNSSとタキオメーター、DJI Matrice 300 RTKとZenmuse P1の測量・マッピング選択肢比較

 


DJIの測量ソリューション、写真/ビデオの記録、測量用スキャナーの異なる測量方法のパラメーター比較

Altametrisにとって、時間とコストの節約は非常に重要な要素です。DJIドローンの業務能力は他の方法よりも最大15倍速く、4倍安価であるため、ドローン測量ソリューションを実装する方法はビジネス上、大きな意味があります。しかし、重要な要素はそれだけではありません。

オペレーターにとって、現場の安全性も大きな懸念事項の一つです。この点は、安全上考えられる危険を回避しながら、遠隔で安全な距離から全てのデータを収集できることで、大幅に改善されます。例えば、現在の新型コロナウイルス感染症は、建物などの混雑した現場を直接測量する際の危険要因の例として挙げられます。

DJI Matrice 300 RTKは単に、測量対象の現場に関する情報を収集するためのツールに留まりません。それ以上のツールとなっているのは、安全性、速度、拡張性、自動化の向上を通じてほぼ全ての側面でマッピングプロセスを改善し、即座に測量やマッピングの新しい業界標準となって、比類のないソリューションを提供しているためです。