DJI – ユーザーストーリー

ドローンが変える、ドイツの太陽光発電設備

作成者: Malek Murison|3月 18, 2024

再生可能エネルギーの採用は、欧州全体で増加傾向にあります。太陽光発電の容量だけでも、2022年には47%の増加を記録しています。ドイツ政府は、2030年までに国内の電力消費の80%を再生可能資源でまかなうという野心的な目標を掲げ、これを推進しています。こうした変化は、補助金や新たな規制、グリーン エネルギー プロジェクトの経済的実現可能性の高まりによって後押しされています。

このような背景があるため、ドイツの住宅用太陽光発電設備市場は活気づいています。しかし、2014年以来、調査や再生可能エネルギーなどの分野において企業向けドローン ソリューションを提供している、ドレスデン(ドイツ)を拠点とする Airclipによれば、こうした状況は始まりにしかすぎないとのことです。新規参入の設備企業から大手エネルギー企業に至るまで、ドイツの住宅用太陽光発電設備市場は、かつてない需要を目の当たりにしています。  

Airclipの創立者兼マネージング ディレクターであるLucas Günther氏は、現在、太陽光関連の顧客がドローン ソリューション プロバイダーの収益の大部分を占めるようになっていると述べています。 

「ドイツの屋根の約85%には太陽発電設備が設置されていません。つまり、可能性に溢れる巨大市場が目の前にあり、今はその始まりでしかないのです」- Airclip、創立者兼マネージング ディレクター、Lucas Günther氏

Energiewendeと呼ばれるドイツのエネルギー改革が、原子力のない低炭素経済へ向かい、行政関係からの多くのサポートも利用できるため、住宅所有者にかかる発電設備の設置費用も下がり始めています。コロナ禍において発電設備の普及を失速させた、必要材料の不足にも、めどがつき始めています。状況は申し分なく、2023年中は太陽光発電設備の成長が加速的に進むとGünther氏は見込んでいます。 

太陽光発電設備の需要が強まる中、ドイツの事業者らは、業務を合理化し作業をスマートに進めるための取り組みの中で、ドローン技術を導入し始めています。 

ドイツの太陽光設備業者が直面している課題と、今後の課題

設置業務の負荷に加え、太陽光設備業者には、取り組むべきいくつかの課題が常に付きまとっています。 

最初に挙げられるのは、人手による屋根の調査に数時間を要するということです。顧客に詳細な見積もりを提示して、設置のゴーサインが得られるようになる前に、関連している箇所をすべて測定して説明する必要があります。これらの予備調査に時間がかかるため、業者が提示できる見積もり数や、確実に進めることができるプロジェクトの件数には限りがあるのです。 

2つ目の課題は精度です。人手による調査の中で行われる困難な作業も、測定値の欠落やたった1つのミスにより簡単に台無しになってしまいます。たとえ、高額な費用がかかる問題に発展する前に見逃しに気付いたとしても、再測定となると、現場訪問回数も、時間も余分に必要になります。 

最後に忘れてはならないことは、安全性の問題です。太陽光設備の設置作業者は高所での作業に慣れていますが、誰しも必要以上のリスクを負うべきではありません。小規模事業者の場合、事故が発生し、負傷によりスタッフが少なくなると、日常業務に深刻な影響が出ることになります。

住宅用太陽光発電設備の設置をドローンが変革

Airclipのおかげで、ドイツの太陽光設備の設置業者は、作業をよりスマートな方法で、よりスムーズかつ安全に進めるための新しい手法を開発することができています。ご想像のとおり、DJIドローンもそうした手法の一部です。 

ここで、Airclipのクラウド処理ソリューションをご紹介する前に、ドローン技術を用いた精度、時間、安全性という3つの主要課題への取り組み方を詳しく見てみましょう。 


Airclipのクラウド処理ソリューションは、太陽光システム設置のため、上空で収集したデータを正確なモデルに変換します。

上空から正確に

ドローンを使用して屋根を調査すると、正確な測定値を収集できるうえ、人的ミスのリスクを効果的に減らすことが可能になります。収集したデータは後日再確認することができるため、再度調査を行う必要もありません。計画段階でミスを回避すれば、数千ユーロの費用を削減できる場合もあります。 

DJI Mavic 3 Enterpriseなど、RTK機能を持つドローンは、データを詳細な3Dモデルに変換するのに必要なセンチメートルレベルの精度を実現できます。

Mavic 3 Enterpriseは、上空で得たデータを詳細な3Dモデルに変換に必要なセンチメートルレベルの精度を実現できます。

太陽光発電に関する調査を10倍速く実施

調査速度はおそらく、太陽光設備業者らがドローンを採用する最大の要因です。作業を速く行うことができれば、全体的なコストの削減につながり、設置業者はより多くのプロジェクトの見積もりを行うことができます。Airclipの顧客に関する数字は、従来の屋根の調査方法と比べると、ドローンの方が10倍速いことを示しています。これまで1日を要していた測定作業を、今では30分で完了させることが可能です。しかも、人的ミスを防止し作業時の事故を減らして時間を節約するという話以前の段階で、これだけ短縮されるのです。そのため、より多くの調査と見積もりを行い、より多くのプロジェクトをこなすことができるようになるのです。

リスクが下がり、事故も減少

産業関連の点検や公共安全、そして広範な調査と同様に、上空からのデータ収集は、人手による手法よりもはるかに安全です。これは、太陽光設備に関する点検においても言えることです。測定にドローンを使用すれば、人が屋根の上に登って高所で作業する必要性が少なくなります。

 

Airclipによる太陽光設備の点検

Airclipの顧客層は、個人事業者から大規模な再生可能エネルギー企業まで、多岐にわたっています。同社は、DJIハードウェアやその使用方法のトレーニング、そして規制に関する障害を克服するための支援の提供に加え、上空で収集したデータを正確な3Dモデルに変換するクラウド処理プラットフォームを構築しています。

太陽光設備業者は、自らの測定業務をこなし、そのデータをアップロードし、1つのプロジェクトにつき少額の料金を支払うことで、詳細な3Dモデルを受信し、それを見積もりとともに顧客に提示して、新たなプロジェクトを計画することができます。

Airclipの3Dモデルは、計画プロセスのサポートや、見込み顧客への売り込みに使用できます。

「私たちは、太陽光設備業者を適切なハードウェアに結び付けているのです」こう説明するのは、Airclipで南ドイツ、オーストリア、スイスのセールスマネージャーを務めるMarc Hufken氏です。

「当社は、ドローンの使用方法や屋根の上での飛行方法についてのワークショップを開催しています。このワークショップの後、お客様は自身ですべてのデータを収集し、画像をクラウド処理サービスにアップロードします。すると、24~48時間以内には正確な3Dモデルとともに、パネルの組み合わせや計画を行うことができる他の太陽光計画ツールを得ることができます。ドローンを使用すれば、太陽光設備業者は、屋根に登って見積もりや測定を行う必要がなくなります。これは、必要な情報を得るための非常に簡単、迅速、正確、そして確実な方法なのです」

S太陽光設備業者が、DJIドローンでの体験を語る

Airclipの太陽光業界の顧客の多くは、Phantom 4 RTKから新しいMavic 3 Enterpriseへとアップグレードしています。これは、DJIの一般消費者向けドローンとは異なる、調査業務用に高度に特化された、コスト効率が良く飛行が容易な携帯型のドローンです。

また、多くの顧客は、設置後の保証を行うために、DJIのサーマルドローン(M3Tなど)のいずれかを使用しています。赤外線画像により、作業者はパネルを迅速に点検して、初日からパネルが使用可能であることを実証することができます。  

 

ドローン技術を採用することでドイツの太陽光設備業者にもたらされた変化に関する知見のいくつかを、以下に示しています。

ドローン、太陽光設備、投資利益率
をどう考えるか

時間の節約

  • 初期調査が10倍速く実施できる
  • 人的ミスとその悪影響が大幅に減少
  • ワークフローの合理化により、より多くのプロジェクトの見積もりが可能になる

投資利益率がプラスに転じる時期

  • 10件目の見積書を作成する頃/数ヵ月以内に元が取れる

経済的節約

  • 太陽光発電計画の段階での、現場で必要とされる時間を大幅に短縮
  • 高い測定精度により、高額のコストにつながる見逃しを回避

「ドローンを使用して、あらゆるものの確認と調査が可能です」

Energiekonzepte Deutschland、テクニシャン、Tony Friedrich氏

DJIドローンを使用することで、ほんとう肩の荷が下りた気がしています。以前は、測定作業を完了させるのに1日かかっていましたが、今では20〜30分で完了でき、多くの場合、レーザーよりもさらに正確な結果を得ることができます。ドローンを使用すれば、以前は個別に調査しなければならなかった物や、手作業では見落としていたかもしれない物など、あらゆるものを上空から確認して調査できます。ドローンにより、私たちは3Dモデルを作成して、これにプロジェクトレポートを含めることができます。これは非常に大きな利点です。 

「太陽光発電設備の計画プロセスが変わった」

Staudt、マスター エレクトリシャン、Kenny Breuer氏

ドローンを使用することで、太陽光発電設備の計画プロセスが変わりました。現在は、ドローンを使用して実施計画を作成するだけです。以前よりもずっと正確なものが作れるのですから。人手による調査に比べて、時間を大幅に節約できます。屋根に登る必要がなくなったため、安全性という点でも非常に有利です。この技術は非常に信頼性が高く、過酷な条件下でも安全に取り扱うことができます。現在、プロジェクト件数が200件以上に増えており、設置件数が増えたため、設備投資も数ヵ月以内に回収できました。

 

「的確な計画がミスの防止に役立っています」

Ewenso、太陽光発電システム鑑定担当者、Sven Dönnewald氏

通常は、ドローンを使用することで、計画に関する計算の精度が高まります。また、屋根に登る必要がないため、測定がより速く、より安全になります。実にすばらしく、これ以上のものはありません。10回ほど測定すれば、設備投資の元も取れます。特に、大規模な太陽光発電システムの場合、計画ミスはすぐに4,000ユーロ以上のコスト増加につながるため、より的確な計画でミスを防止することができる点も非常に重要です。

太陽光発電ビジネスのためにドローン技術を採用

DJIドローンによる住宅用太陽光設備の計画の改善方法の詳細については、Airclipにお問い合わせください。利用できるオプションについて、専門家がアドバイスを提供いたします。