次世代のマッピング – ドローンによる土木測量で時間を短縮

STRABAG社、土木測量にPhantom 4 RTKを導入し、精密な3Dモデルを作成

By DJI Enterprise DJI Enterprise
8月 18, 2021

ヨーロッパハイウェイ(欧州自動車道路)は欧州諸国をつなぐ道路網で、全長80,000kmに及びます。2017年、欧州で2位、世界で4位の全長12,996kmのハイウェイを有するドイツは、東欧や南欧へ向かう何百万の乗用車やトラックが通過する主要経由国であり、既存の道路構造物に重い負荷がかかっています。

ドイツ連邦交通省は2010年から2030年までに予測される交通量の増加について総合的な分析を実施し、輸送人キロは12%、トンキロは38%増加すると予測しました。同省はドイツ国内の交通網のリニューアルと拡張が急務であると結論付け、その連邦交通インフラ計画において、2030年までに2700億ユーロの公共投資を実施するよう提言しました。その投資の75%近くが、ハイウェイ及び連邦道路網のリニューアル・拡張に充てられることになっています1。 

交通インフラの整備に対する需要の高まりに合わせて、効率を向上する新しいテクノロジーに注目が集まっています。その過程で多くの建設業者が、現場の地図作成及び測量ミッションを素早く行うためにドローンを取り入れはじめました。

STRABAG社 – 道路工事のスペシャリスト

交通省の計画を実行し、大規模道路工事プロジェクトを完遂するためには、長期的なプランニングと、民間企業や専門家との連携を要し、困難な事業となります。

欧州で6番目に大きい建設会社グループであるSTRABAG SEとそのドイツ支社のSTRABAG AGは、交通インフラ工事の主要企業であり、グループの生産高の37%を道路工事が占めています。100年以上の歴史と、世界中で7万人以上の従業員を擁するSTRABAGが市場のトップポジションを維持しているのには理由があります。1つは、常に技術イノベーションの最先端を走り続けていることです。

STRABAGチームは、欧州全体で9,100件、うちドイツ国内で4,900件の建設プロジェクトを同時並行で進めています。全てのプロジェクトを合わせると、600kmにも及ぶハイウェイが建設もしくは改修されていることになり、これらを工期通りかつ予算内に進めるためには、効率的なワークフローとコミュニケーションが必要です。そこで重要になるのが、建設プロジェクトの品質を管理し、担保するための正確な地形プランニングです。

ドローンデータが建設業の作業を加速

STRABAGのデジタルオブジェクト測量及びUAV部門では、時間短縮とコスト削減のため、2015年からドローンを導入し、社内や外部クライアントのためのプロジェクト用マップ作成に役立てています。ドローンテクノロジーを導入するクライアントの数が増えるにつれ、より高い精度が求められる新たな用途が生まれるようになってきました。高精度を求めるクライアントの声に応えるため、STRABAGでは新たにPhantom 4 RTKを測量士のツールキットに加えました。

STRABAGが現在従事している長期プロジェクトの1つに、ドイツのヴュルツブルク近郊のA3(アウトバーン3)号線の工事があります。プロジェクトは2014年に開始し、2021年に完了する予定で、2車線から3車線への拡張、防音のための新しいトンネルの建設、老朽化した橋の置き換えなどを実施しています2。これらの改修工事は、急勾配を含む曲がりくねった複雑な地形を走るハイウェイで何kmにもわたって実施されます。ヴュルツブルクのような何年もかかる大規模プロジェクトでは、現場を効率的に測量することがSTRABAGチームの優先事項となり、そうすることで正確なプランニングと進行状況把握を行うことができます。

「ドローンを活用した建設現場の地図作成には、多くのメリットがあります。ドローン技術の導入により、ワークフローに変化が生まれ、さまざまな作業工程が簡素化されています。従来の測量方法でも3Dモデルの作成は可能ですが、ドローンデータで作成するデジタル地形モデルは、より高い点密度を提供できるので、実際の状況をより高精度に表現することができます」と、STRABAGのデジタルオブジェクト測量及びUAV部門の責任者であるThomas Gröninger氏は述べています。

With drones, STRABAG is able to create more detailed 3D models in less time

ドローンを導入することで、STRABAGはより詳細な3Dモデルを短時間で作成することが可能

DJI Phantom 4 RTK - 土木測量の常識を根底から覆す

今日、STRABAGでは、建設現場のマッピングの特定の局面においてドローンが当たり前のように使用されています。ドローンは、特定の環境下(植物が少なく、GPSが利用でき、十分な日照時間がある環境など)では、従来のハンドヘルド型の測量法よりも優れていることが分かっています。しかし、RTK/PPK非対応のドローンで正確な測量結果(最大3cmの精度)を出すには、1km2当たり最大40個の地上基準点(GCP)を配置する必要があり、この作業には数時間を要します。

新しいDJI Phantom 4 RTKは、cmレベルの正確なナビゲーション測位システムと高精細イメージングシステムを内蔵しており、RTKとPPKの両方のソリューションに対応しています。優れた測量結果を引き出す画像を撮影するため、Phantom 4 RTKは、位置、高度、その他のデータとともに、工場でキャリブレーションされたレンズパラメーターを各写真に記録し、新機能のTimeSyncシステムを使用して測位データをカメラのCMOSセンサーの中心に合わせます。RTK測位モジュール(GPS L1 L2/GLONASS L1 L2/Galileo E1 E5a/BeiDou B1 B2)を使用することで、Phantom 4 RTKはGCPの数をゼロにすることもできます。品質管理上、業界では1平方キロメートル当たり3~5個のGCPが広く受け入れられています。Phantom 4 RTKを少ないGCPとともに使用することで、精度がわずかに向上し、GCPセットアップ時間は少なくとも75%短縮されます。

完全に統合されたシステムのメリットを全て活用するため、RTKモードではネットワークRTKサービスが利用されます。より正確な結果を出すために、特にモバイルネットワーク接続状況が悪いエリアにおいては、D-RTK 2高精度GNSSモバイルステーションを簡単に接続することができます。

測量士向けの設計

DJI Phantom 4 RTKの内部で何が行われているかをご紹介します。このドローンはオリジナルの衛星観測データを撮影するだけでなくエフェメリスデータも捉え、RTCM 3.2形式でPPKRAW.binファイルに保存します。さらに、Phantom 4 RTKは、飛行時の衛星データをRINEXフォーマット(Receiver Independent Exchange Format)に変換し、RINEX.obsファイルにデータを書き込みます。GNSSの測位情報とカメラ情報の内部同期により、Timestamp.MRKファイルが高精度な画像位置を正確に記録します。全ての作業の関連データは、microSDカード内の固有フォルダーにミッションごとに保存されます。Phantom 4 RTKデータの一貫性は、データ検証に必要な時間を削減し、その結果として、手動調整を必要としない、高効率な後処理ワークフローを実現します。

GCPを使用しない場合、Phantom 4 RTKが使用するグローバルWGS84リファレンスネットワーク内で達成可能な精度は水平方向で最大3cm、垂直方向で最大5cmです。モバイルネットワーク接続がないエリアでも、Phantom 4 RTKは、PPKを使用して後処理をすることで、RTKと同じ精度を保つことができます。

「飛行経路を設定するとき、高度とオーバーラップを選択する必要があります。Phantom 4 RTKの送信機には、関連する全ての測量パラメーターを含む飛行計画アプリが内蔵されているため、飛行計画を簡単かつ効率的に行うことができます」と、STRABAGデジタルオブジェクト測量及びUAV部門チームリーダーのPhilipp Mielke氏は述べています。

The built-in flight planning app simplifies the setting of operational parameters

内蔵の飛行計画アプリを使用して動作パラメーターを簡単に設定可能

Phantom 4 RTK は、ドローンによるマッピングを簡単、便利かつ効率的に行うよう設計されています。飛行時間は最大約30分間で、1回の飛行で広いエリアをマッピングすることができます。測量エリアが広すぎてバッテリーの充電が必要な場合も、GS RTKアプリの作業再開機能を使用することで、バッテリーの交換後にミッションを自動で再開することができます。Phantom 4 RTKでは、曲がりくねったマッピング計画を一定の速度で飛行できるため、マップ作成の時間をさらに短縮できます。複雑な地形を一定の高度で飛行できる機能と、専用の飛行帯マッピング機能は、測量士にとって大きな改良点です。これらの機能はDJI Mobile SDKによって実現されます。

If battery change is required for larger mappings, the Phantom 4 RTK resumes the mission automatically

広範囲のマッピングでバッテリー交換が必要な場合も、Phantom 4 RTKは自動的に作業を再開可能

データ処理

取得したデータはサードパーティーの測量ソフトウェアに簡単に取り込め、業界に普及している点群や3Dモデルを作成できます。Philipp Mielke氏は「ドローンデータを現場のノートパソコンからクラウドにアップロードして処理できるのは、建設現場における測量のもう1つのイノベーションです。測量士は建設現場とオフィスとの地理的距離を気にすることなく、パワフルなデータ処理を即座に利用できるのです」と強調しています。データを取得した直後に3Dモデルをクラウドで可視化することで、現場のエンジニアは建設作業を確認し、次のステップを考え直すことができます。

非常に詳細で包括的な調査データを得られるため、測量士やCAD技術者は、追加情報を収集するために建設現場に戻ることなく、一度で必要な全てのデータを確実に収集することができ、時間を節約することができます。撮影したドローン写真から3D点群を処理した後、データは個々のプロジェクトの要件に応じて後処理されます。典型的な初期ワークフローとしては、植生、車両、人工物などの不要なオブジェクトをフィルタリングするための点群の分類、特徴ベクトル化、抽出などがあります。処理されたデータは、デジタル地形やサーフェスモデリング、質量や体積の計算、ビルディングインフォメーションモデリング(BIM)などに使用されます。

処理が完了したPhantom 4 RTKの画像データは、様々な成果物の作成に使用できます。

P4 RTK deliverables

3Dデータのほか、サードパーティー製ソフトウェアを使って2Dオルソフォトも作成でき、大規模な工事現場の全体像を俯瞰的に見ることができます。2Dデータと3Dデータの両方が、開始時のプロジェクトミーティング、定期的な調整、プロジェクトレビューの土台としても役立ちます。

ドローン - 建設業界のデジタル化

ドローンで作成された3Dモデルは、様々な解析や評価の選択肢を提供します。求められる精度にもよりますが、最も一般的な使用例は、測量、検査、文書化、工事の進捗状況のモニタリングです。ヴュルツブルクの建設現場では、上記の全てがドローンで実現されています。

「STRABAGは建設現場におけるドローンの使用を世界的に拡大することを目指しています。現在、ドイツでは170人、ヨーロッパ全体では300人の測量士を雇用しています。新しいDJI Phantom 4 RTKは、RTKネットワーク機能が内蔵された、使いやすく多機能なドローンです。この組み合わせにより、STRABAGは、より多くのチームにドローンを配備して、建設現場の測量ワークフローの時間短縮と効率化を進めることができます。測量士にとってDJI Phantom 4 RTKをツールに加えることは大きなプラスであり、建設業界のデジタル化に大きな役割を果たすでしょう」とThomas Gröninger氏は述べています。

 

 

クレジット:STRABAG、デジタルオブジェクト測量およびUAV部門 Philipp Mielke氏

1) Federal Transportation Investment Plan (Bundesverkehrswegeplan)

2) http://www.a3-wuerzburg.de/

 

詳細については、以下でご確認いただけます。

  •    点検などへのドローン活用について詳細を確認するには、DJIにお問い合わせください。
  •    Phantom 4 RTKの詳細はこちらにアクセスしてください。
  •    建設業の専門家向けのDJIソリューションについては、こちらにアクセスしてください。
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Tags: 土木・測量

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