測量業務でドローンを活用するには

業務にあった最適なツールの選択を

By DJI Enterprise DJI Enterprise
5月 28, 2021

ドローン技術の進化と普及とともに、ドローンはさまざまな業界のワークフローに採用され、業務効率を劇的に向上させています。簡単に言えば、ドローンを導入するとコストが削減され、時間が短縮され、安全性が向上します。

特に、ドローン ソリューションによって大きな変革が起こった分野が測量とマッピング(地図作成)です。従来の測量方法では何日、何週間という単位で時間を要する作業が、ドローンでは何時間という単位で結果を出すことができます。

ユーザーやクライアントのプロジェクトの要求に応じて、測量やマッピングに最適なドローンを選択することができます。

  1. Phantom 4 Pro V2.0
  2. Phantom 4 RTK
  3. P4 Multispectral
  4. Matrice 300 RTK + Zenmuse P1
  5. Matrice 300 RTK + Zenmuse L1

測量・マッピング能力の最適化に関心のある多くの企業から、「どのドローンが最適ですか?」というご質問をいただくのも不思議ではありません。新しいテクノロジーに投資するというだけでも腰が引けるのに、たくさんの選択肢が存在するとなると、圧倒されてしまうでしょう。

このガイドを読むことで、DJIの測量及びマッピングソリューションの大まかな分類が分かり、情報に基づいた意思決定を下すために知っておくべき全てのことが分かります。まず、ドローン測量で考えるべき重要なポイントをおさらいした後、あなたにぴったりのDJIドローンについてご紹介します。

P4 RTK

測量向けのドローンにはどのようなものがあるか

まず、測量とマッピングの違いを明確にしておきましょう。マッピングとは、地理や地物を図示するために使用される、領域の視覚表現です。測量もマッピングの一種ですが、2次元および3次元の点の位置と点間の距離を計測するためにも使用されます。マッピングと測量は密接に関係していますが、それぞれの使用事例や価値は異なります。

スピードと精度の関係

ドローンを使った測量の最大の特長は、短時間で作業を完了できることです。ターゲットエリアの上空を素早く飛行することで、正確で実用的なデータを迅速に得ることができます。

ご自身の測量・マッピング要件に合ったドローン ソリューションを選ぶうえで、認識しておかなければならない重要なトレードオフ(条件)の1つが、精度とスピードです。たとえば、マッピングには測量ほどの精度は必要なく、よりスピーディーに実施できます。測量・マッピングの中でも、非常に精度が高いデータを生成できる技術もあれば、時間的制約がある中でスピーディーに結果が得られる技術もあります。

地上画素寸法

測量・マッピングについて言うところの「精度」とは一体何を意味するのでしょうか。1つの見方は、最終成果物が測量対象地の現実をどれくらい正確に反映しているか、です。写真測量において、これは主に地上画素寸法(Ground Sample Distance:GSD)によって表されます。GSDは、マッピング上の2つの連続するピクセルの中心間の長さ(インチ/センチメートル/ミリメートル単位)として定義されます。

あるいは、GSDはマッピング上の1画素の寸法と考えることができます。たとえば、ドローンのGSDが5cm/pixelのとき、デジタルマッピングの1画素は現実の5cmに対応するということです。GSDが「小さい」マッピングほど、高解像度で高精度になります。

ドローンで写真測量ミッションを行う際にGSDに影響を与える主な要素は、カメラの品質(焦点距離、カメラの解像度)と飛行高度です。たとえば、ドローンを高高度で飛行させれば短時間で広範囲を撮影できますが、収集されるデータの解像度は低くなります。

GCPとRTK

地上基準点(GCP)とは、位置が既知の地上の固定点で、測量の校正や精度の向上に使用されます。ほとんどの調査では、複数のGCPを使用しています。しかし、GCPの準備と測定に時間がかかりますので、GCP使用による精度の向上は作業スピードとトレードオフを示す顕著な例です。

GCPの代わりによく使われるのがRTK(Real-Time Kinematics)で、衛星測位と二次的な既知の位置基準を持つ地上局を使って、より正確なデータを得ることができます。RTKについての詳細はこちらをご覧ください。

ドローンによる測量・マッピングの選択肢をご紹介します。

 

GCPのみ

ドローン(RTKなし)

ドローン(RTKあり)

ドローン(RTKあり)+ GCP

精度

高い

低い

高い

最も高い

速度

遅い

速い

速い

やや速い

費用

高い

低い

低い

低い

データセンサーを選ぶ

測量・マッピングソリューションを選ぶときは、自分とクライアントが求めるデータの種類についても考える必要があります。プロジェクトの種類によって求められるデータの種類は異なります。DJIでは、お客様のニーズに合わせてさまざまなソリューションを取り揃えています。

写真測量

ごく一般的な航空測量では、写真測量、すなわち、多数の写真を合成して測量対象地の高解像度な2Dまたは3Dモデルを作成することが求められます。DJIの測量・マッピング用ドローンには、高解像度なデジタル写真を撮影できるパワフルなデジタルカメラが搭載されています。少ない飛行回数で3Dモデリングに必要な画像を収集できるオブリークカメラ(傾斜カメラ)を搭載しているソリューションもあります。次に、DJI Terraなどの写真測量ソフトウェアを使って写真を合成し、作成されたモデルを使用して距離/面積/容積などの特徴を特定したり測定したりできます。

DJI Terraでできることについてはこちらをご確認ください。

LiDAR(Light Imaging Detection and Ranging:光による画像検出と測距)

このテクノロジーは測量対象地の上空でレーザー光をターゲットに照射し、その反射光をセンサーで測定します。そのプロセスを何千回も繰り返すことで、写真測量よりも精細に測量対象地を表す点群を生成します。

LiDARがマッピングおよび地理空間データにもたらしている変革については、こちらをご覧ください。

マルチスペクトル

これらの特殊カメラは光の可視波長域と不可視波長を捉えることができます。農業分野のお客様や、作物の成長や環境コンプライアンスを測るための測量では、マルチスペクトルデータがもたらす重要な実用的情報が役立ちます。

幅広い測量・マッピング技術に対応するドローン ソリューションがあり、必要な要件を満たすメソッドを自由に選択していただけます。

測量ソリューションを選ぶ

必要なデータの種類と品質が決まったら、いよいよ最適なDJIドローン ソリューションを選びます。

Phantom 4 Pro V2.0

p4p白底图 (5)

DJI定番の機体に、1インチの2000万画素CMOSセンサーを搭載し、高精細な空撮を実現。マッピングを始めるための入門用ドローンとお考えください。DJI Enterpriseのソリューションに比べて安価な価格帯で、マッピングをより深く知るためのツールとして最適です。

Phantom 4 Pro V2.0の詳細はこちらをご覧ください。

Phantom 4 RTK

P4 RTK Render

測量士向けに開発されたこのドローンには、センチメートル単位の精度を実現するRTKモジュールが組み込まれています。バックパックに入れて持ち運べる完全なソリューションを求めるプロフェッショナルのための、パワフルで信頼性の高い測量用ドローンです。 

Phantom 4 RTKの詳細はこちらをご覧ください。

P4 Multispectral

P4 Multispectral

農学者、農業従事者、科学者、研究者にとって、P4 Multispectralは農業を「見える化」する最適なソリューションです。内蔵型の安定化映像システムにより、すぐに使用できる包括的なデータセットを収集でき、農業用の画像収集がこれまでになく簡単で効率的になりました。RGBカメラ1台と、ブルー/グリーン/レッド/レッドエッジ/近赤外線の帯域の5台のマルチスペクトル カメラアレイで収集された情報にアクセスできます。各カメラは有効画素数2MPのグローバルシャッターを備え、3軸ジンバルで安定化されます。

P4 Multispectralの詳細はこちらをご覧ください。

Matrice 300 RTK + Zenmuse P1

M300 P1

Matrice 300 RTKはDJIのフラッグシップであり、最もパワフルな産業用プラットフォームです。今回、Zenmuse P1が登場したことで、業界でも究極の航空写真測量ソリューションとなりました。P1は、45MPのフルフレームセンサーと交換可能な固定焦点レンズを、3軸ジンバルに搭載しています。この組み合わせは、GCPがなくても垂直方向に5cm、水平方向に3cmの精度で測量レベルのデータを取得することができ、1回のフライトで3㎢の範囲をカバーすることができます。 

Zenmuse P1の詳細はこちらをご覧ください。

Matrice 300 RTK + Zenmuse L1

M300 L1

Zenmuse L1は、DJI初の公式完全統合型LiDARペイロードです。Livox LiDARモジュール、高精度IMU、1インチCMOSセンサーを3軸ジンバルに搭載しています。 

垂直方向に5cm、水平方向に10cmの精度を持つL1は、3リターン対応、240,000点/秒の点率、450mの検出距離をサポートし、保護等級 IP54となっています。リアルタイムに3D点群を取得し、複雑な構造物の細部を収集し、高精度な再構築モデルを作成するための完璧なLiDARソリューションです。 

Zenmuse L1の詳細はこちらをご覧ください。

今回お届けした情報が、測量・マッピングのニーズに適合するドローン ソリューションを選ぶ一助になることを願っています。あなたとあなたのクライアントが求める要件がスピードであれ精度であれ、DJIにはその要件に合致するドローン ソリューションが揃っています。

Share on Social Media:

Tags: 土木・測量

Construction-Guidebook-CTA-Desktop

ニュースレターにご登録いただくと、製品の最新情報やアップデート、電子書籍などをお届けいたします。

DJI Enterprise
著者について DJI Enterprise

関連記事

最新の記事

土木・測量 | メンテナンス

スプレー缶噴射による屋根メンテナンス 、新たな点検ソリューション

 東洋製罐株式会社(とうようせいかん)は、金属缶やペットボトル等の容器で世界有数のメーカーである。今回、自社の老朽化した倉庫を修理するにあたり、ドローンで建物の点検と、更に応急処置まで行うという実証実験について、お話を伺った。
もっと読む

土木・測量 | 公共安全 | AEC&測量

DJI EnterpriseのドローンでのPPKプロセス手順

後処理キネマティック(PPK)は、全地球航法衛星システム(GNSS)のデータを使用して、ローバー/ドローンの位置と軌道を正確に決定する方法です。PPKでは、近くのベースステーションの位置と軌道に関する情報とともに、ドローンから生のGNSSデータを収集し、事後にデータを処理することで、位置・軌道情報の精度を向上させます。
もっと読む

土木・測量 | AEC&測量

DJI Enterpriseの地理空間ソリューションに関する高度なFAQ

DJI Enterpriseは、地理空間を専門とするお客様向けにさまざまな製品を提供しています。以下は、次の製品に関するよくある質問とその回答です。
もっと読む

土木・測量 | AEC&測量

DJI EnterpriseのドローンとDJI Terraによる備蓄品の測定

「現場にどの程度の在庫があるだろうか?」または「備蓄品の量はどのくらいだろうか?」と自問することはありませんか?
もっと読む