業務用ドローンが仕事を変える13の方法 2021年版

様々な業界において、ドローンが専門性の高いプロフェッショナルにもたらす優位性とは

By DJI Enterprise DJI Enterprise
9月 14, 2021

ドローン技術は、多岐にわたるエンターテインメント性で、ドローン愛好家、写真家、FPVパイロットの人々を楽しませています。花火に代わるクリエイティブな作品をドローンで作成する人たちがいるほど、流行しています。

しかし、ドローンは娯楽用やおもちゃといった認識を超えたものへと大きく進化してきました。コンピュータービジョンや自律飛行、安全システムの向上により、あらゆる産業に付加価値を与える高度なデータ収集ツールとなっています。    

「空飛ぶロボット」は、コスト削減、劇的な効率化、そして作業中の安全性の向上など、革新的な方法で活用されています。

DJI Enterpriseは、ドローンが世界中のあらゆる業務で活躍できるようサポートするために設立されました。ここでは、ドローンが活躍している13の成功例についてご紹介します。

野生生物の保護と研究

野生生物の保護や研究という重要な仕事には、困難がつきものです。多くの場合、プロジェクトは少人数のチームと限られた予算で運営されています。また、プロジェクトに関わりたいと考えている人がいたとしても、大きな障壁に直面することがあります。

その障壁の1つが資金調達です。保全や研究プロジェクトには資金が必要で、データは勝手に集まってくるものではありません。 

海洋保護

ドローンは、あらゆる野生生物保護プロジェクトにおいて、パワフルかつ入手しやすいツールであるため、より多くの人が参加でき、より広い分野で科学が適用できるようになりました。海洋保全団体「Ocean Alliance」では、ドローン技術は変革を起こすツールとなっており、Iain Kerr博士と彼のチームは、DJIドローンを使用して、鯨の生息している海の状態をモニタリングするために、分析用に鯨の鼻水を収集しています。この貴重なデータは、いままでにないほど素晴らしい精度で、かつ低コストで迅速に収集されています。

ドローンは、従来の研究方法を21世紀の新しい方法へと変化させています。これまでOcean Allianceでは生検採取を行い、必要なデータを収集していましたが、今はその必要がなくなりました。また、「Oceans Unmanned」という海洋団体では、ドローン技術を用いることで、漁網に引っかかった鯨を開放する作業の全体像を把握し、作業員が危険にさらされることなく作業を行えるようにしています。

Snotbot Spray

絶滅危惧種の保護

ドローンは、もちろん地上でも活躍しています。大型ネコ科動物の研究では、サバンナでDJIドローンをライオンの追跡調査やモニタリングに使用しています。ケニアでは、セキュリティチームがこの技術を利用して、密猟者から象を守るという活動を行っています。

Elephants Drone GIF

オーストラリアでの森林火災や野生生物生息地の破壊状況に関する調査では、赤外線カメラを搭載した業務用ドローンが、野生生物の救助活動ミッションで活躍しています。これまでに数え切れないほどのコアラが救助されており、実際に現場でドローン技術が導入、試験運用されている今、その救助数は増加し続けることでしょう。

自然界を探索し、理解、保護することの必要性は、今まで以上に高まっています。DJIドローンは、世界中の科学や自然保護に携わる人々の活動を支援しています。

公衆衛生

新型コロナウイルス感染症が拡大して以来、ドローンは公衆衛生の分野でも重要なツールとなっています。

ワクチンやその他の医療用品をドローンで配送する有望性は、コンゴ民主共和国から英国のシリー諸島に至るまで、新型コロナウイルス感染症への取り組みを補完する可能性があります。

ドローンが注目されている理由は、孤立した地域にいる人々に直接辿り着くことができるからです。また、遠隔地への配送も可能で、人と人との接触を最小限に抑えることができます。

これらの最新の取り組みは、ドローン自律配送のパイオニアであるZipline社などの企業の一連の成功事例(最初はアフリカ、現在は米国で行われている)に続くものです。

感染症への取り組みが急務となっている中、人類史上最大の犠牲者を出している疫病 「マラリア」に立ち向かうためにもドローンは活用されています。

マラリア撲滅のためにDJI業務用ドローンを使用して蚊の個体数を減少させる科学者の取り組みについての詳細は、弊社ブログ、もしくは2020年のAirWorksカンファレンスで対談した専門家Guido Welter氏とBart Knols氏の講演をご覧ください。

Spraying Drone GIF 2

再生可能エネルギー

業務用ドローンは、大規模なデータ収集や高所作業、移動式センサーを必要とするあらゆる場面で利用できる有用なツールです。急速に発展する再生可能エネルギー業界では、これら3つの要素をカバーするためにドローンが使用されています。

太陽光発電

太陽光発電の規模や能力は、世界中で急激に成長しています。最大の効率で運用を継続していくためには、定期点検が必須になります。しかし、その規模の大きさゆえに、点検は非常に難しい課題となっています。

最新のリモートセンサーとAIを搭載したドローンを組み合わせることにより、点検員はその広大なエリアをカバーし、気になる部分をピンポイントで確認することができます。太陽光発電業界でのドローンの導入については、こちらをご覧ください。

Drone Flying Over Solar Plant

風力発電

太陽光発電と同じように、風力発電は精密な設備で構成されており、効率的に動作しない場合、発電量やエネルギー会社の収益に大きな影響が出てしまいます。

ドローン技術は新しい点検のワークフローを可能にし、有人航空機と比べてコストを削減し、どうしても必要な場合以外は、点検員によるタービン点検を回避できるようになり、収集したデータを使って異常を検出できるようになりました。

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農業

農業分野は、業務用ドローンを導入している最も大きな分野の一つであり、ドローンは世界中の農業従事者に影響を与えています。

Agras T16などのモデルでは肥料や農薬を迅速かつ正確に散布し、P4 Multispectralのような可視光以外の帯域でもデータを取得するマルチスペクトルプラットフォームは、現代の農業に欠かせないツールとして定着しています。

※日本国内ではAgras T16は未発売です。Agras T20 日本版をご参照ください。

ドローンと農業の関係性について詳しくは、DJI農業向け製品購入ガイドでご確認いただけます。また、ドローン、データ分析、ミッション計画、クラウドサービスがどのように組み合わされ、農業ビジネスの成長を促すことができるのかについては、DJI Agricultureをご覧ください。

Multispectral Imaging Drone eBook

Ag buying guide

歴史的環境保全

ドローンは、世界各地で文化財保存活動に活用されています。その理由の1つは、ドローンがリモートセンシングに対して使い勝手の良いプラットフォームになるからです。

多くの考古学・修復プロジェクトにおいて、詳細なマッピングとモデリングは、作業を開始する前に必要な工程です。データをタイムリーかつコストパフォーマンスの高い方法で収集する必要性は常に存在しており、ドローン技術の発展により、航空測量でDJI製のドローンが急速に採用されるようになりました。

その一例として、日本では17世紀に建てられた唐津城の保護・修復作業が行われています。このプロジェクトでは、DJI Phantom 4 RTKがマッピング用ソフトウェアであるDJI Terraと共に使用されました。

Optimized Terra Transform

捜索・救助

最新のリモートセンシング技術を装備した救急隊員は、救助を必要としている人の場所をより簡単に見つけることができます。ドローンにより、世界中の捜索・救助チームは、空中からの赤外線画像を撮影する作業をより簡単で手頃に行えるようになりました。

捜索・救助ミッションは完全に真っ暗な状態で広大な捜索エリアを航行しなければならないことがよくあります。サーマルカメラを搭載したドローンは、迅速な対応と使い勝手のよさ、空中からの持続性の高い偵察といった特徴を併せ持ち、同様の装備を搭載したヘリコプターと比べて、少額の費用で済みます。

また、ペイロードの特徴はサーマル機能だけではありません。DJI H20シリーズ ペイロードなどのRGBやズーム機能の進歩により、救急隊員はパワフルな視覚能力を容易に手にすることができます。

世界中の山岳警備隊や救助隊がドローン技術を採用したことにより、英国での行方不明者の発見、アイスランドでのハイキング中に遭難した人々の発見、ベトナムでの壊滅的な洪水や山崩れでの生存者の発見といった成果を挙げています。  

 

ドローンが世界各地の生死に関わる重大な局面でどのような活躍をしているかについては、ドローン救助マップをご覧ください。現在、553名もの人の命が救われています。(2021年2月19日現在)

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ドローンによる消火活動

従来のデータ収集作業では、作業員が危険にさらされることが多くありました。しかし、ドローンを使えば、必ずしもそうなるわけではありません。

このような傾向が最も顕著な分野は消防です。ドローンは従来のアプローチをサポートしつつ、新しい方法論の開発にも活用されています。

DJIドローンは状況認識ツールとして利用でき、特に夜間や煙が充満しているときは、サーマル画像により上空から状況を可視化し、救急隊員に空から炎の規模や方向といった情報を伝えます。

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アーカンソー州ベントンビルにて燃え盛る炎を空中から撮影

しばしば、空中からの映像は地上作業員の行動を誘導するのに使用することができるので、非常に効率良く消火活動を行い、二次火災の可能性のあるホットスポットを一掃します。DJI Matrice 300 RTKは、バッテリーのホットスワップ技術を搭載しているので、消防隊員は常に空からのビジョンを頼りにすることができます。

また、ドローンはイノベーションにもひらめきをもたらします。Matrice 600は、山火事が制御不能になるのを防ぐためにの先制した消火活動の技術進展にも活用されています。 

消火活動におけるドローンとリモートセンサーの活用法については、Firefighting Fire With Thermal guidebook(サーマルカメラを用いた消火活動 ガイドブック)をご確認ください。

DJI Thermal Guidebook Desktop CTA

危険物処理をサポートするドローン

危険物処理を伴う緊急事態では、細心の注意を払う必要があります。緊急対応機関は、安全性を最優先にしたプロセスで処理に取り組みます。

しかし、長年積み上げてきた方法がすでに確立している分野にもかかわらず、ドローンはこの分野に大きな影響を与えています。通常は無線通信に依存しているチームに状況認識を提供し、懸念のある領域を偵察して、隊員をどこに配備する必要があり、どのような状況に直面する可能性があるかを特定します。フロリダの革新的な危険物処理班では、地域間でツールを提供しています。

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航空測量

航空測量は、ドローン技術がデータ収集プロセスを促進しているもう一つの例です。 

プリセットされた飛行経路と高度なペイロードにより、ドローンは2Dや3Dのオルソマップ、LiDAR点群、3Dモデル、サーマルマップ、マルチスペクトラルマップを生成することができます。これらの用途は業界によって異なります。

例えば、農業分野では、作物の健康状態を把握するためのマルチスペクトルマップが普及しています。モデル構築による自動車事故の現場検証など、迅速なデータ収集が必要な状況では、LiDAR点群を地上で撮影した画像や航空写真と組み合わせることができます。

LiDAR点群と写真測量の比較はこちらからご確認ください。詳細マッピングやモデリングで必要になるデータをドローンで収集する方法については、航空測量ガイドをご覧ください。

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ドローンによる点検

私たちが利用している重要なインフラは、その多くが定期的な保守点検によって支えられています。橋や線路、通信鉄塔などの建造物では、昔から作業員が不安定な環境で作業することが当たり前になっています。  

業務用ドローンは、これらのインフラ検査をより安全に、そして多くの場合、より効率的に行うことができます。 

送電線点検

その一例が送電線点検です。グリッドオペレーターは、遠隔で大規模な点検を実施することにより、送電網の運用者はダウンタイムを削減し、次の一手を迅速に決定できます。 

DJI Matrice 300 RTKは、点検チームにとって夢のようなツールとなりつつあります。20 MPカメラと23倍ズームを組み合わせて、調査員はどんな些細な欠陥も特定することができます

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建設管理

建設業は利益率が低く、生産性が長期的に停滞している業界です。そのため、混乱が生じることがよくあります。しかし、ドローン導入により、データの収集方法や現場の認識の共有方法に大きな影響を与えています。

ストックパイル測定や、プロジェクトの事前計画から安全点検や全体像の進捗状況の更新まで、建設会社にとって空からのモニタリングは非常に重要であることが証明されています

P4 RTK scanning GIF

ドローンが建設作業にどのような付加価値をもたらしているかについての詳細は、ドローンの建設ガイドブックをご覧ください。

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鉱業

鉱業は、情報に基づいて意思決定するため、詳細なデータが必要とされるダイナミックな業界です。従来の方法と比較して、ドローンは数百万のデータポイントなどを含む包括的で高品質の莫大な情報を、短時間、低コスト、より少ない人的エラーで収集できる便利なツールであることが証明されています。

自動化された飛行計画とデータ処理は、業界全体のワークフローに革命をもたらしました。ドローンの導入により、実地調査やストックパイル測定を行う際に作業員を危険のある環境に配置する必要性がなくなりました。

Stockpile Volumetrics

石油・ガス

石油・ガス業界には、劇的で危険性が大きい環境が多く存在します。当然、ドローンは安全で正確なデータを収集することにより、価値を証明しています。

一部では、フレアチップや浮屋根式タンクといった石油・ガス業界のインフラ施設は地上から評価することが難しいため、ドローンが採用されています。

しかし、この業界でドローンが台頭してきた背景には、ソフトウェアとセンサー技術の発展もあります。機材の点検や緊急対応において、DJIのM300 RTKのようなプラットフォームは自動化された点検作業に使用することができ、cmレベルでの精度でデータを収集します。DJIのAIスポット点検ソリューションといったソフトウェアの機能は、機械学習アルゴリズムと内蔵RTKシステムを組み合わせ、各ミッション中に正確なデータポイントを確実に収集します。 

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生産性革命を実現するために

業務用ドローンは、数多くの業界でデータ収集の必須ツールとなっています。DJIの技術は、公衆衛生や緊急対応の分野で人命を救い、産業分野での点検業務を21世紀レベルまでアップグレードすることで労働者の安全を守り、農業や建設業界の生産性の革命を後押ししています。 

業務用ドローンが企業にもたらす優位性については、www.enterprise.dji.comご確認ください。

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Tags: ドローンエコシステム

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