現場にあるストックパイル(備蓄)の全体像を、迅速に把握する必要はありませんか?ほとんど全ての採掘現場や建設現場にとって、ストックパイル量の計測は重要な業務です。業務が採掘であれ、採掘品を使った最終製品の製造であれ、正確な数字があれば、非効率な要素をなくし、サプライチェーンのあらゆる部分の作業効率を高められます。
問題は、間違った方法を使用すると、ストックパイルの計測が時間のかかる困難な作業になり、チーム本来の仕事ができなくなる可能性があることです。しかし、ドローンを利用すれば、必要なデータを迅速かつ正確に収集できます。
ストックパイルを正確に計測することで得られるメリット
鉱山や建設現場の管理者には周知の事実ですが、データが正確であればあるほど、より適切な判断をすることができます。石炭であれ鉄骨であれ、ストックパイルの量を正確に追跡できれば、サプライチェーンを最適化し、コストを削減できるとともに、プロジェクトに必要な現場作業がどれだけ残っているかを把握することもできます。
正確な計測には、以下のようなメリットがあります。
サプライチェーン ロジスティクスの向上
効果的なサプライチェーン マネジメントとは、需要に見合う十分な在庫を常に確保しながら、できる限り効率的に資材を移動させることに尽きます。作業現場がサプライチェーンのどの部分にあっても、ストックパイルレポートは、さまざまな困難を解決する重要な鍵になります。利用可能な資材の量が正確にわかれば、購入や採掘が必要な分量を情報に基づいて判断できます。
それができないと、必要な資材を購入し過ぎたり、あるいは低く見積もり過ぎたりという危険を冒すことになります。
詳細な財務予測
ストックパイルを正確に計測することができれば、現在の備蓄量だけでなく、今後必要な量も分かります。正確な計測によって、在庫量の変化を追跡し、目標を達成するためのペースが保たれているか否かを判断することができます。ストックパイルのデータは、製品の価格や今後の発注量を意思決定者が決定する上でも役立ちます。
不良在庫の削減
製品の在庫量が分かっていないと、その価値を正確に評価することはできません。ストックパイルの体積を定期的に計測することによって、作業指示を正確かつ効率的に行うことができます。これにより、作業結果が数字に見合ったものになり、長い目で見ればコスト削減も実現できます。
ドローンによる計測と従来技術による計測との比較
従来の実績ある方法を採用したいと思う人がいるかもしれませんが、ドローンをストックパイルの計測プロセスに活用すれば、従来よりも正確な結果が得られ、大幅なコスト削減と時間短縮を同時に実現することができます。最も一般的な「昔ながら」の方法には、ウォーキングメジャーやバケット、トラックなどを使用して山積みの資材を数える方法があります。企業によっては、ストックパイルを単に「目測」しているところもありますが、これはきわめて不正確な方法であり、絶対に避けるべきです。
従来のこうした計測方法にかかる費用は、ドローンの購入費用に比べれば安く思えるかもしれませんが、長い目でみれば、かなりの負担になる可能性があります。見積もりが不正確なせいで、顧客のワークフローやサプライチェーン全体の効率が低下する可能性もあります。また、ドローンを使えば、このような計測のために割かなければならなかった時間を、別の有益な用途に充てることもできます。
恐らく最も重要なこととして、現場によっては、人力によるストックパイルの計測に危険が潜んでいることがあります。採掘現場でも建設現場でも、時として不幸な人身事故が発生しており、このようなリスクを可能な限り軽減することは、労働者にとっても事業にとっても有益です。
人力による計測では対応できない場合、ドローンが活躍します。ドローンを使うことで、数回のカメラ撮影と適切なソフトウェアにより、ストックパイルの全サイズを把握することができます。ドローン計測の効率の良さは、どのような作業現場でも実感できますが、現場を複数抱えている組織や、ストックパイルの量が大量にある組織にとっては特に重要です。ドローンによるストックパイルの計測なら、時間の節約になるだけでなく、安全面でも全く心配がありません。ドローンに重い物を載せることなく、離れた場所から計測できるからです。
このような利点を考えると、ドローンによるストックパイルの計測があっという間に世界中の作業現場の標準的な測量方法になりつつあることは、不思議ではありません。ウクライナの採掘企業であるFerrexpo Yeristovo社では、DJI製ドローンを使ってストックパイルをマッピングすることで、測量にかかる時間を90%短縮しました。同社はドローンによる時間短縮と人身事故減少の両方を引き合いに出し、この手法が同業他社にも広まるとしています。
ストックパイルの計測にドローンを使用する方法
ストックパイルの体積を計測する場合、一般に、写真測量法と呼ばれるモデリングプロセスを用いて、現場の3Dマップを作成し、サイズを求めます。UAV写真測量では、異なる視点(視線)から対象物の画像を複数枚撮影し、それらをマッピングソフトウェアでつなぎ合わせます。こうして作成されたモデルから、正確な測量結果を導き出すことができます。従来のドローンを使った測量作業では、多くの場合、空撮写真が数百枚、時には数千枚も必要でした。しかし現在は、大きさによっては1つのストックパイルにつき数枚の画像で済みます。
場合によっては、作業現場でLiDAR(光検知測距)と呼ばれるモデリング技術が使用されることもあります。LiDARでは、デジタル画像ではなく光のパルスを使ってストックパイルの量を計算します。従来、LiDARペイロードはコストも重量もかさむため、ストックパイルの計測にはあまり使われていませんでしたが、当社初のLiDARペイロード製品Zenmuse L1の登場で状況が変わる可能性があります。
それでは、備蓄品の体積を測量する一般的な手順について説明します。
ストックパイルの写真撮影
ストックパイルを撮影する前に、まず、作業現場のより広い範囲の空撮画像が必要です。これらの画像によって、ストックパイルの周囲の状況が分かり、正確な縮小比を設定しやすくなります。最適な結果を得るには、これらの画像をGPS座標と照合します。
マッピングソフトウェアの使用
あとは、撮影した画像を適切なドローン用ソフトウェアにアップロードして、3Dモデルを作成するだけです。ストックパイルの正確な体積をモデルで計算するには、まず、ストックパイルが置かれている場所の基準レベルを入力する必要があります。基準レベルとは、ストックパイルが置かれている場所の地面または床面を表し、体積を記録する際の基準になります。場合によっては、ソフトウェアで自動的に基準レベルを特定できることもあります。これにより、体積を正確に計測し、ストックパイルの増減や変化を容易に確認することができます。
トン数の計算
もちろん、ストックパイルの正確な体積がわかっただけでは、求めている全ての情報が得られないこともあります。たとえば、トン数です。幸い、こうした指標への変換は、オンライン計算サービスで簡単に行うことができます。計測する材料の名前を入力するだけで、簡単にトン数に変換することができます。
採掘現場や建設現場に適したドローンとペイロード
ストックパイルの体積を正確に計測するには、センチメートル単位の精度が保証されたドローンが必要です。高速飛行が可能で、駆動時間の長いバッテリーを搭載するMatrice 300 RTKは、規模の大きな現場で戦力となります。特に、複数の現場を抱えている企業や、ストックパイルの種類が多数ある企業には最適です。一度に3つのペイロードを取り付けられるため、最小限の飛行回数でデータを収集できます。
DJIでは、写真測量とLiDARマッピングのどちらを実行するにしても、お客様にぴったりのカメラペイロードをご用意しています。Zenmuse P1は写真測量用カメラの主力製品で、低ノイズ、高感度の45 MPフルサイズセンサーと、24/35/50 mmの交換可能な単焦点レンズを選択することができます。
これに対して、LiDARが必要な測量では、Zenmuse L1をお勧めします。手頃な価格でありながら精度の高いIMUを備え、さらには密集した枝葉も透過できるので、非常に複雑な地形の測量にも問題なく対応できます。なお、どちらのカメラも、DJIが誇るマッピングソフトウェアDJI Terraと簡単に統合できます。
出典:
https://www.stockpilereports.com/stockpile-measurement-methods-that-work/